原子力空母エイブラハム・リンカーン、横須賀入港


横須賀市・うみかぜ公園の沖に姿を見せた、原子力空母エイブラハム・リンカーン(22.5.21 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)



海上を進むリンカーン(22.5.21 ヨコスカ平和船団 撮影)


横須賀基地に入港するリンカーン(22.5.21 ヨコスカ平和船団 撮影)


5月21日、原子力空母エイブラハム・リンカーン(ABRAHAM LINCOLN CVN 72)が横須賀に入港した。

朝8時40分過ぎ横須賀・走水沖に姿を見せたリンカーンは、10時過ぎ頃には横須賀基地に入港して12号バースに接岸した。飛行甲板上に艦載機を満載しており、その中にはF35戦闘機の姿も見えた。
艦載機を載せて入港したということは、長い滞在にはならないということだろう。

エイブラハム・リンカーンは、1989年に就役した空母だが、横須賀へは初の寄港だ。
今年の1月3日に母港のサンディエゴを出港した後、東アジア、西太平洋海域で活動を続けていた。4月には日本海で海上自衛隊の護衛艦「こんごう」や「いなづま」などと合同演習も行った。

前日の5月20日に出港した、原子力空母ロナルド・レーガンに入れ替わるようにしてのリンカーンの入港だ。
昨年8月末には、原子力空母カール・ビンソンも横須賀に寄港している。
昨年9月前半には、イギリスの空母クイーン・エリザベスも横須賀に寄港している。
東アジアに空母を常時展開させるために、複数の空母を横須賀に寄港させることが常態化していくのだろうか。


バックをしながら12号バースに接岸するリンカーン(22.5.21 星野 撮影)

ところで、リンカーンの寄港直前の5月18日に横須賀市が発表した「米国原子力空母の寄港について」という文書よると、「国からは、米側によれば、マスク着用義務及びフィジカルディスタンスの徹底を含む新型コロナウイルス感染症予防策が遵守されること、また、リバティに関しても、在日米軍及び在日米海軍が定めている全ての規定が適用されるとの説明を受けているとのことであった」という(リバティとは「在日米海軍の休暇・勤務時間外行動方針」を指すようだ)。
また、「5000人程度」の乗組員のうち「具体的に何名が施設・区域外で休養を取るかは確認中との説明があった」という。
要するに、国からの「説明」は、あくまでも米軍の言うことをそのまま伝えているだけであって、国も横須賀市も、米軍のコロナ対策を現場で主体的にチェックはしないということだ。

リンカーンの入港した5月21日に横須賀市内で開かれた「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」主催の集会で、参加者から、リンカーン乗船者の中に「コロナ陽性者」がいるという情報が報告された。寄港中に市内で行う予定だった行事が、そのために中止になった事例があるという。とくに「秘密」でもないごく普通の連絡として伝えられたという。

他方、リンカーンが入港した21日の夕方には、基地近くの京急線の駅改札付近には大勢の、私服の若い米兵の姿が見られた。スマホを片手に物珍しそうにキョロキョロしながら電車に乗り込んだかれらの中の一人に尋ねると、やはりリンカーンの乗組員だった。
日本政府が「具体的に何名が施設・区域外で休養を取るか」を「確認中」と称している間に、コロナ陽性者も乗船しているとみられるリンカーンは横須賀に入港し、乗組員たちは「休養を取る」ために外出して、電車に乗って横浜・東京方面に出かけていったのだった。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


飛行甲板上にはF35戦闘機も並んでいる(22.5.21 星野 撮影)


2022-5-23|HOME|