原子力空母定期修理の放射性廃棄物運搬船、4月10日頃に横須賀到着か


放射性廃棄物運搬船の募集とみられる、米連邦政府の業務公告サイトSAM.govに掲載された公告


公告には、20フィートコンテナを少なくとも6個、うちクラス7及びクラス8の危険物を4個、
横須賀の13号バースからピュージェット・サウンドまで運ぶ米国船籍の船の募集であること、
2023年4月10日から12日までがLAYDAYSで、チャーター期間は23日間であることなどが書かれている。


13号バースに接岸する貨物船の位置やサイズを示した図。この図は、募集公告に添付されていたファイル「23R4022 RFP.pdf」より引用

横須賀基地で原子力空母ロナルド・レーガンの定期修理が行われている。

例年であれば2月半ばに、この定期修理で排出される放射性廃棄物などを横須賀から米国本土に運ぶ運搬船の募集公告が、米連邦政府の業務公告サイトに掲載されてきた。
しかし今年は、この業務の受注者募集時期がこれまでとは変わったようだ。

昨年12月7日から19日までの期間、米連邦政府は「23-day Dry Cargo Time Charter」というタイトルの公告を出して受注者を募った。
これは少なくとも6個の20フィートコンテナを運搬する米国船籍の貨物船をチャーターする募集公告だ。
運搬するコンテナのうち4個は、クラス7とクラス8の危険物だという。クラス7の危険物とは放射性物質を意味しており、クラス8は腐食性物質だ。
これらのコンテナを横須賀基地の13号バースで積み込んで、ワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所まで運ぶ業務だ。

この業務内容はまさに、原子力空母の定期修理で排出される放射性廃棄物などを横須賀から米国本土に運ぶ運搬船の、例年の募集公告とほぼ同じだ。
つまり、昨年12月のこの募集公告が、2023年の横須賀での原子力空母ロナルド・レーガン定期修理で排出される放射性廃棄物の運搬船募集公告である可能性が高い。

原子力空母の定期修理で放射性廃棄物が排出されるということは、原子力空母の動力装置の修理が行われているということであり、それによって生じる放射性廃棄物を艦外に出して運搬船に積み込むということだ。
1964年8月のエード・メモワールで、原子力艦船の動力装置の修理も、放射性廃棄物の艦外への搬出も日本国内では行わないと米軍は約束したはずだ。にもかかわらず、その約束を平然と破る危険な行為を、米軍は今年も横須賀で行っており、行うということだ。
約束違反を毎年続けていても、許されない行為であることに変わりは無い。

ところで、募集公告によれば、4月10日から4月12日までがLAYDAYS、つまり入港可能な期間で、チャーター期間は23日間だ。
つまり、この募集公告通りであるならば、4月10日から12日までの間には、放射性廃棄物運搬船が横須賀基地の13号バース、つまり原子力空母の定期修理が行われている12号バースの隣にやって来るということだろう。
LAYDAYSの数日前には、東京湾に放射性廃棄物運搬船が現れて待機している可能性も高い。

この業務のAward Noticeは、既に今年1月6日に発表されている。
業務を落札したのはSchuyler Line Navigation Companyだ。昨年、横浜ノースドックや那覇軍港でオスプレイを搬出入するなどして、すっかり「なじみ」になってしまった貨物船SLNC YORKなどを保有している会社だ。このSLNC社の貨物船が、4月10日頃には横須賀周辺にやって来るということだろう。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


この業務の落札情報。SAM.govより引用


12号バースで定期修理を行っている原子力空母ロナルド・レーガン。左側の13号バースに放射性廃棄物運搬船が接岸し、
クレーンで吊り上げてレーガンから貨物船にコンテナを移す作業が行われる(23.2.12 星野 撮影)


2023-2-26|HOME|