米沿岸警備隊の大型カッターが横須賀に


8月6日、横須賀基地沖に姿を見せた沿岸警備隊大型カッター、マンロー(23.8.6 星野 撮影)


マンローは、8月6日は横須賀の沖にとどまっていた(23.8.6 星野 撮影)


8月7日、ハーバー・マスター・ピア西側(HMP-W)に接岸したマンロー(23.8.7 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


マンローの後部の飛行甲板にヘリが置かれている。マンローの向こうに巡洋艦シャイロー(CG 67)が停泊し、その向こうにはフランスの情報収集艦の白い船体が見える(23.8.7 星野 撮影)


マンローの飛行甲板に置かれているのは、HH-65 ドルフィンヘリだ(23.8.7 星野 撮影)


8月8日も横須賀基地に停泊していたマンロー(23.8.8 木元茂夫 撮影)


米沿岸警備隊の大型カッターが横須賀にやってきた。バーソルフ級の大型カッター、マンロー(MUNRO WMSL-755)だ。

マンローは8月6日に横須賀沖の錨地に現れ、7日にハーバー・マスター・ピアの西側(HMP-W)に接岸した。

この大型カッターは、昨年6月9日から13日にかけても横須賀に寄港している。一昨年8月には佐世保に寄港している。
今回マンローは、サンディエゴを現地時間の7月15日に出港し、その後ハワイのパールハーバーに現地時間の7月21日から24日まで滞在した後、横須賀にやってきた。
横須賀寄港の目的は、今のところ不明だ。

以前から横須賀には、沿岸警備隊のカッターが毎年寄港していた。
しかし、今年はすでに4月28日から5月3日にかけて、マンローと同じバーソロフ級の大型カッターのストラットン(STRATTON WMSL 752)が寄港している。
今年2月には、鹿児島港にバーソロフ級大型カッターのキンボール(KIMBALL WMSL 756)が入港している。
近年、沿岸警備隊カッターの、横須賀など日本の港への寄港頻度が以前よりも増加しているようだ。

米国の沿岸警備隊は、米軍の一部に位置づけられている組織だ。この点が、海上保安庁法第25条で「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」と明確に規定されている日本の海上保安庁と大きく異なる点だ。

しかし、2022年より、その日本の海上保安庁と米国の沿岸警備隊は、「SAPPHIRE(サファイア)」と称する、「自由で開かれたインド太平洋の実現」という政治的な目標を掲げた連携活動を強化するようになった。

今年6月上旬には、南シナ海で日本の海上保安庁の巡視船と米沿岸警備隊、フィリピン沿岸警備隊が初の合同訓練を行った。中国を意識した一種の軍事的けん制行動だろう。
海上保安庁の発表によればこの訓練も「日米海上保安機関による共同取組「SAPPHIRE(サファイア)」の一環」なのだという(6月7日付の海保発表文書より引用)。ただし、日本の海保は、この日米比訓練を行った場所を南シナ海とは呼ばずに「マニラ湾沖」と発表している。しかし、「マニラ湾沖」とは実質的には南シナ海のことだ。

この6月の「日米比訓練」に参加した米沿岸警備隊の艦船は、まさに今年4月末から5月初めにかけて横須賀に寄港していた大型カッターのストラットンだった。
日本の海上保安庁からは大型巡視船「あきつしま」が、フィリピン沿岸警備隊からは、日本の円借款事業「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化計画(フェーズ2)」によって三菱重工の造船所で建造されてフィリピンに引き渡された巡視船「メルチョラ・アキノ」(Melchora Aquino)などが参加した。

ところで、既に述べたように、今回のマンローの具体的な寄港目的は今のところ不明だ。
しかし、米国の沿岸警備隊が、日本を前進拠点として、中国に対するけん制活動の一端を担うようになっていることは確かだ。
そして、日本の海上保安庁も、海上保安庁法第25条の規定があるにもかかわらず、米国の軍事的な活動への加担の動きを自ら進めつつあるのだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


今年4月28日から5月3日にかけて横須賀基地に滞在していた、バーソロフ級大型カッターのストラットン(23.4.30 星野 撮影)


横浜海上保安部に停泊する海上保安庁の巡視船「あきつしま」。40ミリ機関銃などの強力な武器を備え、ヘリ2機を搭載する大型巡視船だ(23.6.21 星野 撮影)


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