厚木基地に初飛来したF35


3月8日、厚木基地に初飛来したF35B。垂直尾翼に「VK」「14」「USS AMERICA」の文字が書かれている。
「VK」は、岩国基地所属の第121海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-121)所属機であることを示している。
「USS AMERICA」は、強襲揚陸艦アメリカで運用する機体であることを示している。 (2022.3.8 爆音訴訟調査研究センター 撮影)


3月8日、厚木基地に飛来した2機のF35B。右側の機体は、「VK」の「04」号機だ。 (2022.3.8 爆音訴訟調査研究センター 撮影)

3月8日、厚木基地にF35B戦闘機が2機飛来した。
岩国基地所属の海兵隊第121海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-121)の機体だ。厚木基地へのF35の飛来は、この日が初めてだった。
3月14日にも、岩国のF35Bが2機、猛烈な爆音とともに厚木基地に飛来した。
この3月のF35の厚木飛来は、東富士演習場及び沼津海浜訓練場で行われていた海兵隊と陸上自衛隊の日米合同軍事演習に参加するためのものだった。

3月24日の星条旗新聞(Stars and Stripes)HPの記事「Weeks of US-Japan military training near Mount Fuji winds down with F-35 missions」によると、東富士演習場と沼津海浜訓練場の演習の両方にF35は参加した。


3月14日、強烈な爆音をとどろかせて厚木基地に飛来したF35B。この機体もVMFA-121所属機だ、 (2022.3.14 爆音訴訟調査研究センター 撮影)


演習のシナリオの1つでは、陸上自衛隊が攻撃目標の情報をF35に伝え、F35は「敵」が守っている島とされたエリアを模擬攻撃したのだという。
実際の爆撃はしなかったものの、米軍のステレス戦闘機F35が日本で自衛隊と共同訓練したのはこれが最初だ星条旗新聞は述べている。

同じ星条旗新聞の記事は、今回の演習について、自衛隊幹部や米軍は明言はしていないとしつつも、南西諸島の「離島」と「台湾有事」を想定した中国へのメッセージであるという元自衛隊幹部のコメントを紹介している。
しかし、南西諸島に暮らす住民の生命や生活は、この演習の視野に入っていたのだろうか。爆撃のもとに曝される島の住民の生命と生活をどのように守るというのだろうか。
その爆撃や陸自水陸機動団、米海兵隊の戦闘によって何を守るつもりなのだろうか。

また、この演習を企画した人びとは、軍事力による威嚇やその行使を、あたかも机上のゲームのように合理的にコントロール可能な手段だと考えているのだろうか。


演習に参加したF35Bは、3月24日には演習場付近の上空で、第152海兵隊空中給油輸送飛行隊の空中給油機からの空中給油も行った。もはや「何でもあり」のような状況になってきているようだ。
米軍画像サイトDVDIS記事「Sumos Refuel F-35's during CAS near Mt. Fuji」より引用
https://www.dvidshub.net/image/7106739/sumos-refuel-f-35s-during-cas-near-mt-fuji

ところで、今回の日米合同軍事演習実施に関する、2月24日付けの陸上幕僚監部の発表には、F35の厚木への初飛来や演習参加については一言も触れていなかった。
確かに、陸自オスプレイが初めて合同演習に参加して、米海兵隊オスプレイと共同訓練を実施するということは、確かに書いてあったが。

F35の演習参加のような重大な事柄が、演習の途中に「思いつき」のように急遽決まるものなのだろうか。
もしもそのような「思いつき」で演習が進められているのであれば、それはそれで大問題だ。

しかし、もしかしたら、F35の参加は最初から計画されていたけれども、陸自オスプレイの参加などの新たな動きを事前の発表に複数盛り込むと批判の声が出たりして「面倒」だと考えたために、F35の演習参加を既成事実化させてから小出しに発表したのではないか。
事前に説明もせず、議論の場も作らずに。

しかし、実力組織が、市民の目の届かないところで既成事実を積み重ねて行動の制約を取り払っていく状況は、端的に言って極めて危険だ。
実力組織の暴走を許すことは破局をもたらす、ということがアジア太平洋戦争の痛切な教訓の一つではなかったのか。
「既成事実への屈服」(丸山眞男)を繰り返すことは許されない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)



今回の演習で厚木基地は、演習に参加するMV22オスプレイの拠点としても使用された。(2022.3.16 星野 撮影)


演習には陸上自衛隊のV-22オスプレイも初参加したが、米軍画像サイトに掲載された写真によると、非常に危険な飛行も行ったようだ。
米軍画像サイトDVDIS記事「StaffEx」より引用
https://www.dvidshub.net/image/7089723/staffex


2022-4-7|HOME|