米海軍ヘリ、相模湾で魚雷を発射(2)


3月10日、相模湾とみられる海域を航行する海上自衛隊の輸送艇2号と、低空飛行するヘリ。
米軍画像サイトDVDIS記事「Task Force 70 Helicopter Squadrons Conduct Bi-lateral Training with JMSDF」より引用
(https://www.dvidshub.net/image/7087793/task-force-70-helicopter-squadrons-conduct-bi-lateral-training-with-jmsd)

奇妙なことに、今回の日米合同演習を報じた第7艦隊HPの記事は、演習を行った場所を「東京湾」としている。
確かに、東京湾のなかにある横須賀基地のヘリポートでMH−60Rヘリに魚雷を搭載している写真が、米軍画像サイトDVIDSに掲載されてはいる。しかし、同じDVIDSに掲載されている、米海軍ヘリと海自の輸送艇2号が写っている場面の写真を見る限り、魚雷を発射したのは相模湾のようだ。
海自のプレスリリースも、「訓練海空域」を相模湾としている。
もちろん、米海軍が相模湾と東京湾の違いを認識していないという訳ではないだろう。米軍関連のHPの記事で相模湾という言葉が使われることもあるからだ。
ではなぜ、第7艦隊HPの記事は、演習を行った場所を東京湾と書いたのだろうか。その理由は不明だ。

他方、海上自衛隊のプレスリリースには、米軍ヘリの発射した魚雷の回収にあたった輸送艇2号がこの演習に参加したことも、この演習で米軍ヘリが相模湾で魚雷を発射したことも、書かれていない。
海上自衛隊はこのような重要な情報を公表せず、市民の目の届かないところで日米合同軍事演習を積み重ねているのだ。

第7艦隊HPの記事によれば、今回の日米合同対潜ヘリ演習は、昨年10月に行われたHSM-51と海自第51飛行隊による初の二国間対潜水艦戦追跡訓練に基礎を置いているのだという。
つまり、昨年10月に初めて日米合同で対潜ヘリによる潜水艦追跡訓練を行い、今年3月には初めて米海軍対潜ヘリから魚雷の発射を行った、ということのようだ。
第7艦隊HPの記事の情報が仮に正しいとするならば、短期間のうちに、日米合同演習の内容がより攻撃的なものへとエスカレートしているということだろう。

いうまでもなく国の実力組織の行動は、市民の生命や生活に決定的な影響を与える。
そのありようについて市民が考え判断する機会も作らせず、情報も公開しないまま、実力組織が暴走を続ける状況は、極めて危険だ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


3月10日、横須賀基地のヘリポートに着陸したMH-60Rヘリと装着を待つ魚雷。
米軍画像サイトDVDIS記事「Task Force 70 Helicopter Squadrons Conduct Bi-lateral Training with JMSDF」より引用
(https://www.dvidshub.net/image/7087780/helicopter-maritime-strike-squadron-hsm-77-conducts-mk-54-torpedo-training-exercise)

3月10日、魚雷を装着して横須賀基地のヘリポートを飛び立つMH-60Rヘリ。
米軍画像サイトDVDIS記事「Task Force 70 Helicopter Squadrons Conduct Bi-lateral Training with JMSDF」より引用
(https://www.dvidshub.net/image/7087786/helicopter-maritime-strike-squadron-hsm-77-conducts-mk-54-torpedo-training-exercise)


2022-3-30|HOME|