米海軍ヘリ、相模湾で魚雷を発射(3)


3月10日、訓練魚雷発射直後とみられる写真。
米軍画像サイトDVDIS記事「Task Force 70 Helicopter Squadrons Conduct Bi-lateral Training with JMSDF」より引用
(https://www.dvidshub.net/image/7087798/task-force-70-helicopter-squadrons-conduct-bi-lateral-training-with-jmsdf)

ところで、今回、米海軍のMH−60Rヘリコプターが魚雷を発射した相模湾は、ヘリコプターを含む航空機による魚雷発射訓練が認められていない海域だ。

確かに、1961年4月19日の調達庁告示第4号は、北緯34度57分、東経139度09分の点と城山燈台を結ぶ線の北方全区域、すなわち相模湾のほぼ全域を、「相模湾潜水艦行動区域」つまり米軍の潜水艦が「射撃演習を除くすべての種類の演習を行なう」区域として提供するとしている。
なかでも、照ヶ崎−城ヶ島燈台−川奈崎を結ぶラインの内側では、潜水艦は模擬魚雷発射も行うことができる区域、すなわち「模擬魚雷射撃演習区域」とされている。
しかし、相模湾で模擬魚雷を発射することが許されているのは、潜水艦だ。ヘリコプターは潜水艦ではない。
したがって、相模湾で米軍ヘリコプターが模擬魚雷であれ魚雷を発射することは認められていない。

そもそも相模湾は潜水艦の訓練海域として提供されているのであって、ヘリコプターの対潜水艦戦の訓練のための海域ではない。

にもかかわらず、今回、米軍と自衛隊は、相模湾で対潜水艦戦の演習を行い、米海軍MH−60Rヘリコプターは相模湾内で魚雷を発射した。
つまり米軍は、認められていない、明白に不当な行為を相模湾で行ったということだ。

しかもこの明白な違反行為は、海上自衛隊のヘリコプターや輸送艇の目前で行われた。
なぜ自衛隊は、米軍による相模湾での不当な魚雷発射訓練を止めなかったのか。防衛省・自衛隊が、相模湾はあくまでも潜水艦の訓練海域とされていることを知らないはずはない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


相模湾潜水艦行動区域の図
神奈川県渉外部基地対策課,1994,『神奈川の米軍基地』神奈川県,p.168より引用


2022-3-30|HOME|