海自P-1哨戒機にかんする、昨年夏の防衛省への資料請求とその回答
海上自衛隊のP-1哨戒機。厚木基地に配属された機体だ(21.9.7 爆音訴訟調査研究センター 撮影)
厚木基地でタッチアンドゴー訓練をする海自P-1哨戒機(22.3.16 星野 撮影)
厚木基地に並べられて駐機するP-1哨戒機。以前から、実際に使われている機体が少ないことなどを爆音問題に取り組む団体が指摘していた(22.3.16 星野 撮影)
6月27日、会計検査院が会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書「国内開発された固定翼哨戒機(P−1)の運用等の状況について」を発表した。
この報告書は、海上自衛隊のP-1哨戒機について以下の3点を問題として指摘した(会計検査院HPに掲載された報告書の「概要」https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/7/pdf/070627_gaiyou.pdfより引用)。
まず、第1に、「任務可動機の数は限られており」「可動状況は低調となっていた」こと。
第2に、P-1哨戒機のエンジンである「F7−10エンジン及び搭載電子機器等の運用等の状況については、F7−10エンジンの一定数が性能低下の状態になるなどして使用不能となっており、P−1の可動状況が低調となる要因となっていた。また、搭載電子機器Aの一定数が使用不能となっており、搭載武器と機体との連接に関しては、連接できないおそれがあるなどの不具合が発生していて、P−1の任務可動機の数が限られる要因となっていた。さらに、搭載電子機器Fの構成部品に外部から地殻性物質が固着する不具合が発生し、一定数が使用不能となっていた」こと。
さらに第3に、「機体用交換部品の調達等の状況については、空補処は、発注から納品までの期間が長期化している状況及び今後の調達に与える影響について必ずしも適時に把握できていなかった。また、空補処が緊急請求を受けてから調達が完了するまでに1年以上を要しているものが全体の3割弱あり、各部隊においては、機体同士で機体用交換部品を流用し合うなどして可動機を確保している状況や、非可動の状態となっている機体が見受けられた。そして、調達所要量の算定については、調査対象品目に関して製造中止等の情報を得たとしても、調達所要量の算定に反映させる仕組みにはなっていなかった」こと。
実は、P-1哨戒機については、部隊に配属されたことになっている機体の中で実際に飛行している機体は少ないこと、そもそも部隊に配属されたすべての機体を常時運用することができる人数の人員はいないと見られること、防衛省の各年度の予算に計上されているP-1哨戒機の調達機数と同機の実際の配備状況に乖離があり、予算と契約や配備との対応関係が不明瞭であることなどが、基地の爆音問題に取り組む市民や団体から以前から指摘されていた。
市民のそうした声を受けて、福島みずほ参議院議員が昨年、2024年8月9日に防衛省に対して資料請求のかたちで質問を行い、回答を受けていた。
米軍との軍事一体化に突き進み、青天井の予算が組まれ、税金が湯水のごとくつぎ込まれる自衛隊の実態を示す資料として、この昨年夏の、福島みずほ参院議員によるP-1哨戒機にかんする資料請求の質問とそれに対する防衛省の回答を、以下に掲載しておく。
なお、現在でも、配備されているP-1哨戒機のうち実際に飛行しているのは10数機に過ぎないと見られることを、爆音問題に取り組む市民団体は指摘している。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
福島みずほ参議院議員による2024年8月9日の防衛省への資料請求の本文
上記の資料請求(質問)のうち、1と2に対する防衛省の回答
上記の資料請求(質問)のうち、3への回答として防衛省が提出してきた図
上記の資料請求(質問)のうち、4に対する防衛省の回答
上記の資料請求(質問)のうち、5に対する防衛省の回答
2025-6-30|HOME|