厚木の艦載機、主翼のトラブルで緊急着陸


拘束フックを下ろして厚木基地に緊急着陸するFA18ホーネット(NF 313)。 向かって左の主翼先端にトラブル


右主翼端の前縁フラップが機能していない


後から見た緊急着陸機。右翼の前縁フラップが上がっていることが、後からでもわかる

硫黄島でのNLPが後半に入り、厚木でもNLP開始予定日の10月12日、FA18ホーネットの緊急着陸があった。

この日、8時45分に単機で離陸したVFA192所属のFA18Cホーネットが、一時間後に別のホーネット1機にエスコートされて厚木基地に戻ってきた。空母に着艦するときにワイヤーに引っ掛けて停止するためのフック(拘束フック)を下ろしている。滑走路脇には緊急車両が集まっている。緊急着陸だ。

主翼のシルエットが左右で違う。右主翼(向かって左)の先端の前縁フラップが、着陸時には下向きの角度をとるはずなのに、上を向いている。揚力を発生するためのフラップが、逆にエアブレーキになって抗力を発生している。
羽田への着陸の最終段階で逆噴射をかけて墜落した旅客機があったことを思い出させるようなトラブルだ。

離陸するときは、フラップは普通の状態だったから、飛行中に何かフラップに問題が生じたのだ。フラップのコントロールに必要な部品が飛行コースの下に落下した可能性があるし、墜落の危険だって生じたのではないだろうか。

2004年8月に沖国大に普天間のヘリが墜落したのは、沖縄海兵隊が強襲揚陸艦エセックスなどにのってペルシャ湾に展開する直前だった。出発期限を決められた中で、整備業務が長時間にわたり整備兵たちの疲労が蓄積していたことが、原因の一つと指摘されている。

3ヵ月を超える空母展開を終えたばかりで、また出撃するための夜昼の訓練に明け暮れる厚木の艦載機部隊に、CH53Dヘリ墜落事故当時の普天間基地の状況が重ね合わされてくる。
操縦系のトラブルは墜落事故に直結する。こんなトラブルが続けば、基地周辺住民の不安はさらに高まることは当然だ。
トラブルにいたる経緯と原因の追求は、基地周辺自治体の最低限の任務だ。

(RIMPEACE編集部)(写真はいずれも10月12日撮影)


離陸直前のホーネット(NF 313)  一時間後に緊急着陸した時の主翼の状態と比較するために掲載した

'2006-10-12|HOME|