厚木艦載機の岩国移転話

ついに馬脚を現す。最大の爆音要因は移転せず


06年6月の空母出港前後の苦情と艦載機飛行機数。苦情がはねあがっているのがCQ取得訓練実施時

空母が艦載機とともに長期の航海に出かける前には、艦載機のパイロットたちに資格試験が行われる。それがCQ(Carrier Quolification、空母着艦資格)取得訓練だ。
これまでの例では、空母は年2〜3回、該当する任務航海に出る。そのたびに艦載機が空母に移動する前10日以内に行われるのがCQ取得訓練だ。

このCQ取得訓練は、艦載機が岩国に移転した後も厚木から行う、という「衝撃的」な意向が米海軍から示された(07.2.8 朝日神奈川版)。
なぜ、衝撃的なのか。厚木基地周辺住民を苦しめている爆音、それが夜中まで鳴り響くのが、このCQ取得訓練中だからだ。厚木基地周辺自治体に寄せられる、艦載機の飛行に関する苦情は、この訓練のときに極端に増える。それは、限られた日数のうちで艦載機パイロットが皆、この資格を取得するためには、厚木を発着する艦載機の飛行時間が深夜に及ぶからだ。

上のグラフでもわかるように、空母の出港前に行われるNLPの時より、苦情が何倍にもなるのがこのCQ取得訓練のときだ。5月30日から6月1日までの3日間、21時を過ぎての厚木から洋上の空母に向けた離陸がどんどん行われた。約2時間のミッションで戻ってくるから、厚木基地への着陸が深夜になる。
6月1日夜中(正確には6月2日に日付が変わってから)に、少なくとも5機のホーネットやスーパーホーネットが厚木に帰還している。最後の艦載機の厚木着陸時間は午前1時を過ぎていた。周辺自治体に苦情が集中したのも当然の話だ。

日本政府が言うところの「米軍再編の目玉」の一つが、艦載機の厚木から岩国への移転だ。艦載機の騒音が無くなるという幻想を振りまいて、厚木基地周辺自治体をたぶらかしてきた米軍・日本政府のやり方が馬脚を現した。
艦載機の移転話が日本政府から「成果」として語られたとき、基地周辺住民が真っ先に考えることは、深夜まで悩まされた爆音が無くなる、ということだ。苦情が連日200件前後も集中する深夜の爆音が無くなる、ということだ。

もっとも苦情が集中する訓練が厚木に残る、ということが一年前に明らかになっていたら、大和市長や神奈川県知事はどんな判断を米軍再編に対して下しただろうか。
厚木からの艦載機の移転がマヤカシでしかないという判断を当然していただろう。今からでも遅くは無い。ホトボリは冷めちゃいねぇンだよ、ホント。

(RIMPEACE編集部)


06年6月8日出港したキティーホーク。この出港の直前にCQ取得訓練が行われた


'2007-2-10|HOME|