厚木基地を巡る最近の動き

キティホークがやってきた。再び、爆音のるつぼに

ニアミスも発生 抗議の監視団も

金子ときおレポート


 例年、厚木基地の爆音は8月後半から9月にかけて激しく、このレポートを書いている時点で爆音に悩まされる毎日が続いているが、今年は、空母の交代やニアミス、爆同(厚木基地爆音防止期成同盟)などによる爆音監視、エアーショーの延期など特筆すべき課題も多く、最近の厚木基地をめぐる動きをレポートする。


空母の交代、艦載機の飛来

 1991年9月から横須賀を母港としてきた米第7艦隊の空母インディペンデンスが7月7日ハワイに向け出港、パールハーバーで交代式を済ませ退役、新たに空母キティホークが第7艦隊に配備され、同空母は、多くの市民の反対を押し切って、8月11日横須賀に入港した。(写真は横須賀での抗議集会)  

 この横須賀に関連しての厚木基地の艦載機の動きはどうだったのか。

 空母が交代してもインディペンデンスの艦載機、第5空母航空団(CVW−5)はそのままキティホークに搭載された。したがって、ハワイでキティホークに積み替えられた艦載機は、同空母の横須賀入港前に再び爆音を振りまきながら、8月10日までに厚木基地に飛来した。

 ここ数か月の厚木基地の爆音被害状況で見ると、インディペンデンスが中東から帰還し横須賀に入港した、6月5日前日の4日から自治体への抗議電話が増え始め、10日間ほどの休暇の後、15日からは本格的な訓練がはじまったことが読み取れる。

 特に6月22日からの週は激しい訓練が行われ、基地北側の大和、相模原、町田、横浜市北部などで多くの抗議・苦情電話が寄せられている。また7月に入っても訓練は続き、NLPが今回は全面的に硫黄島で行われたにもかかわらず、厚木基地での離発着訓練はいっこうに減らず、インディペンデンスが出港した以後も、10日まで厚木基地で訓練が続けられていた。


キティホーク艦載機による訓練の開始とニアミス

 新たに横須賀を事実上の母港にしたキティホークが入港したのが8月11日。9日、10日に厚木基地に飛来したのはおよそ50機の艦載機。まだ、自治体の苦情の集計が出ていないので詳しい分析はできないが、手元の資料から見ると、8月17日から本格的に飛び始めている。

 この時期は8月29,30 と発表されていた厚木基地のオープンハウス・基地開放の準備期間で、徐々に曲芸飛行の訓練などが目立つようになり、急旋回や編隊飛行なども目立っていた。

 そんななかで、起きたのが、19日早朝におきた、相模原市南部の上空での日航機・DC10と厚木基地の艦載機・F18のニアミス、詳しくは別掲の報告を見て頂きたいが大惨事にならなかったものの、民間機との航空路が交差している、この市街地上空での危険な訓練はただちに止めるべきだ。地元自治体でも国や米軍に詳しい経過や報告を求めて申し入れをしているが、この問題、現在行われている9月市議会でも取り上げていきたい。


エアーショーの延期

 爆音が極端にうるさく、かつ危険な厚木基地の開放とエアーショー(曲技飛行)を止めろという爆同や自治体の声を無視して、米軍は今年も8月29, 30の両日、オープン・ハウスを行うと発表した。さらにリハーサル訓練も27日行うとしていた。

 そのため、危険でうるさいエアーショーはやめろとの声は、連日のように周辺市長の中止要請となり、爆同や第三次訴訟団、県平和運動センターの三団体は共同で再度の爆音監視行動を27日から30日まで設定した。

 こうした中で起きたのが20日の米軍によるスーダンとアフガニスタンの空爆、クリントンのセックススキャンダルをもみ消すために爆撃されるのはたまったものではないが、飛び火して、日本国内の米軍基地も厳重警戒体制に、直後の横須賀基地のオープンは延期された。そして、注目の厚木基地のオープンハウスも24日に正式に延期が発表された。

 地域の中止要求を無視しての延期であり、まだまだ予断は許されないが。


訴訟団の動き、監視活動

 オープンハウスは延期になったが、爆同などの爆音監視は予定通り27日は行われた。(写真)

 この日、監視行動で記録した爆音は午前10時から午後8時までで160回余り、かなり多い爆音回数だ。飛び方もひどく、写真のように通常は行わない、2機が同時に着陸したり、離陸したりが目撃された。また、エマージェンシーがかかり、消防車が4台も待機しての緊急着陸も遭った。先日のニアミスなど何の反省もされていないことが伺える。

 監視行動は翌日からは台風の影響で中止したが、多くの原告が参加した行動で、取り組んだ意義も多く、今後の裁判の中で生かされるものと思われる。

8月31日からは連日激しい離発着が行われ、基地周辺は爆音に悩ませれ続けている。

基地周辺の自治体にかかってくる苦情電話も凄い数になっている。

爆音がうるさいときは抗議・苦情の声を出そう。苦情電話をかけよう。


'98-9-19|HOME|