金子ときお レポート 99・1




 昨年の正月、厚木基地周辺は米軍の慣例を無視した、突然のNLPに襲われた。当然、爆音への抗議の声が渦巻いたが、今年の正月も基地周辺住民は再び米軍機の爆音に悩まされた。今回の訓練通告も全く不可解で、国・米軍のまやかしが改めて印象づけられた。
 以下、その問題点をレポートする。


 1月7日、東京防衛施設局から福生や昭島市など横田基地周辺の各自治体と厚木基地関連の町田市に対し、『米空母キティホーク艦載機の着陸訓練について』との通告(文書)があった。内容は横田基地で1月11日から15日までの午後6時から8時まで、厚木基地では11日から15日までと19日の午後6時から9時まで、艦載機の着陸訓練を実施する、というもの。
 こうした東京防衛施設局の自治体への文書通告に対して、神奈川県下の厚木基地周辺自治体への横浜防衛施設局からの通告は口頭(電話)によるものだった。東京と違って口頭になった点について、横浜防衛施設局は通常の訓練でありNLPではないから、と説明したという。
 なぜ、国・米軍は通常の!?着陸訓練なのに、事前通告してきたのか。今まで、厚木基地での訓練に事前通告があったのはNLPの時のみで、それも了解事項によって、2週間前にというものだった。住民にとっては爆音のうるささは同じだが、『通常』の訓練の場合には通告はなかったのである。
 そこで考えられるのは、実際にはNLPに近い訓練をしたが、突然の通告は昨年のように大きな反発を招くので、敢えて通常の訓練と言って、ごまかしたと考えられる。なぜなら、空母艦載機が休暇終了後、地上の基地から洋上の空母に行く場合、必ず規定のNLP訓練を消化せねばならないとされており、そのために厚木基地がNLPの訓練基地として使用されているのだ。
 今回、NLPの通告はなかったが、空母キティホークは19日、横須賀を出港し、艦載機も8機が空母に飛び、招待した報道陣に空母上での着艦訓練を公開している。この8機はどこでNLP訓練を行ったのか。通常の着陸訓練として通告した内容が、実はNLPに準じる訓練だったと見るべきではないか。機数が8機と少ないので、通常の訓練、GCA(地上管制誘導)訓練と言って、ごまかそうとした…。こう理解するのが順当である。
 仮に今回のNLP訓練でないとしたら、艦載機はNLPなしでも空母に戻れることになる。米軍も横浜防衛施設局も、この点をどう説明するのか。また、基地周辺自治体もこの点をきちんと追及すべきだ。回答次第では、自治体や住民への嘘が明らかとなるし、また、NLPなしでも空母に戻れるとなれば、訓練の必要性の根底がくずれるわけだから。


 さて、今回の通告にはもう一つの問題点がある。それは東京と横浜で防衛施設局の対応に違いがあったことだ。関連自治体への通告が東京では文書、横浜(神奈川)では口頭という具合に。東京では、通告翌日の8日には都と周辺自治体が国や米軍に訓練の中止を要請した。このことは東京都のホームページにも載せられていた。
 ところが、神奈川では口頭。通常の訓練ということで各自治体に戸惑いがあり、とりあえず訓練の様子を見ようと消極的な対応となった。結果的に、13日午後、県と関係市で厚木基地渉外部に口頭で申し入れ、また、相模原市が14日午後、厚木基地に口頭で申し入れるというような対応に止まってしまった。口頭での通告が自治体の戸惑いを招き、ズルズルと米軍の訓練を許してしまったのだ。なお、通告が東京と横浜の防衛施設局で文書、口頭と違った点について、県は2月に入って横浜防衛施設局に申し入れを行っている。


 新聞報道によれば、空母キティホークは3月2日に横須賀を出港、訓練に向かうという。そうすると、そろそろ硫黄島でのNLPも始まるはず。すでに厚木や横田での訓練も激しくなってきた。爆音のうるさい時は抗議や苦情の電話を必ずかけて、市民がうるさいと感じている意思表示をしよう。

昨年一年間の各自治体への苦情電話の集計ができたので参照されたい。

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