横田基地を探る−福生市を視察

基地内視察は直前にキャンセル

   相模原市基地対策特別委員で


 2月3日、在日米軍司令部のある横田基地を視察のため、市基地対策特別委員会で福生市を訪問した。

 今回の視察は官民共用空港化を提唱する、石原都知事の発言に揺れる横田基地を実際に見て、かつ周辺自治体の反応や騒音被害の実態や対策などを把握しようと企画、実施したもの。

 当初は議会事務局と市渉外課が横田基地周辺自治体に基地内部の視察を打診したが、答えはノー。なかなか横田基地内には入れないとの返事だった。

 そこで、仲間の遠藤洋一福生市議に相談、福生市を通じれば入れるだろうとの返事で、早速、福生市に視察を申し入れ、さらに横田基地内部にも入りたいと相談した。これを受けて福生市では米軍と折衝、2月3日は節分で、司令官が高幡不動に行くため、米軍の通訳がついての案内はできないが、福生市が案内して中に入るのはOKとの回答を得た。

 日程は午前中が福生市で基地対策を聞き、午後バスで基地内に入るというもの。このスケジュールが確認され、準備が進められてきたが、直前になって米軍より、当日は訓練が入り、中に入るのはダメ、となり、結局福生市の案内で、基地周辺からの視察、及び青島前都知事も登ったという、瑞穂町のスカイホールという高台の展望台から基地全体を見るという事になった。

横田基地

   横田基地は東京都下、立川市、武蔵村山市、昭島市、福生市、羽村市、瑞穂町にまたがり、広さは7,136,413 u。在日米軍司令部、第5空軍司令部、米空軍第374空輸航空団などが使用し、管理は米空軍第374空輸航空団。常駐機はC−130E・13機,C−9A・4機,C−21A・4機,UH−1N・4機。他にC−5ギャラクシーやC−141,KC135,KC10など大型輸送機、空中給油機などが離発着を繰り返している。また、最近では横須賀に入港する米空母に搭載されている艦載機のNLP(夜間連続離発着訓練)もしばしば行われている。

以下は、基地の概要−福生市総務部長説明から。

 (1) 沿革

・横田基地は、旧日本陸軍立川飛行場の付属施設である多摩飛行場を米軍が接収したもので、その後、必要に応じて拡張し、昭和35年頃に概ね現在の規模となった。

・朝鮮戦争当時はB29爆撃機を主力とする主要な出撃基地であったが、昭和46年、戦闘爆撃部隊が沖縄に移駐した後は空輸中継基地となった。

・昭和48年の関東空軍施設整理統合計画により、関東地区の空軍施設の横田への機能集約が行われ、在日米軍司令部などが設置された。

・昭和58年頃から米空母艦載機による訓練が行われるようになったが、現在、NLP等は主に硫黄島で実施している。

・騒音問題としては、第1次から第3次までの騒音訴訟が起こされ、平成6年までに判決が確定しているが、新たに平成6年に飛行差止めの訴訟が提起された。

・事件・事故としては、平成3年に基地内で68キロリットルの航空機燃料漏れがあり、現在も完全回収には至っていない(8割程度回収済み)。また、C−130による砂袋の誤投下、C−9によるエンジンカバ−の一部落下などがあった。

・基地に関する協議会としては、平成8年に東京都と基地周辺5市1町による連絡協議会が設置されている。

 (2) 規模等

・基地面積は約714 fで、99%が国有地である。

・福生市域における基地面積は約332fで、市域面積の約32.4%である。

・管理部隊は米空軍374空輸団で、基地内には在日米軍司令部、第5空軍司令部が設置されている。

・滑走路は延長3,350m、オ−バーランが南北に300mずつ設けられている。

・軍人・軍属約3,700 人、家族約4,500 人、日本人従業員約8,200 人である。

・常駐機はC−130などの輸送機やヘリが計25機で、戦闘機は常駐していない。

(3) 騒音問題

・滑走路は南北に設置されており、基地の東側に位置する福生市は通常の飛行に関しては騒音の影響は大きくない。しかし、艦載機の着艦訓練が行われる場合は、基地の東側を小回りで旋回するため、影響が大きい。

 以上のような説明があり、以下質疑が行われた。

 私の質問は

@防音工事については厚木基地周辺の区域見直しがある。東京防衛施設局管内はどうか。

→ 具体的な話しはないが、区域見直しの要請はしている。

AE2Cなど艦載機の訓練に関する通告はNLPの時だけか。その前後における訓練についても通告はあるのか。

→ はじめは通告はなかったが、基本的には昼間についても通告がある。

B(艦載機の)GCA(着陸誘導管制)訓練も行われるか。

→ 明確ではないがGCAらしい時もある。頻度は極端に少ない。(常駐機の)通常の飛行は当然GCAである。

 質疑終了後、食事をしながら、遠藤議員(副議長)などと懇談、午後は福生市の職員や遠藤議員も同行して、バスで基地のまわりを滑走路の南側から北に、説明を受けながら一周した。途中、瑞穂町のスカイホール展望台から見学、ここは基地北側の狭山丘陵の南端の高台、その上の展望台とあって、横田基地を一望できる、とてもいい場所だったがあいにく逆光で写真はいまいちだった。持参した双眼鏡で見ると、C5ギャラクシーやC9などがいるのが見えた。また、途中、C9一機が離陸するところも見れた。その後国道16号に出て、道路の両側に広がる基地の実態や建設中の巨大な基地内のスーパーなどの建設の様子を見ながら、相模原への帰路についた。

 今回の横田基地の視察で、横田基地への離発着機が、相模原上空でも爆音をまき散らす実態がより身近に感じられ、今後連携を密にして運動を展開する必要があることを改めて感じた。

(金子 ときお)


2000-2-17|HOME|