
在日米軍の再編をめぐる日米協議が先月中旬サンフランシスコで行われ、その中で米側 から神奈川県の海軍厚木基地を岩国へ移転させる案が提示されたという。この報道に対し
日本政府は具体的には聞いていないと事実を否定したが、月末には「この提案を米側は白 紙に返した」とも伝えた。
つまり、この様な話が有ったことは事実だったのだ。
報道された内容は厚木基地に駐留する約70機の空母キティーホーク艦載機部隊を岩国基地へ移 転させるというもので、あわせてこれまで硫黄島で実施してきたNLP(夜間発着訓練)も岩国基地で実施するという提案だった。
米軍は厚木基地から1200kmも離れた硫黄島でのNLPを、何とか常駐基地から近い場所 で実施出来ないかと日本政府に要求し続けてきた。昨年1月、広島県沖美町の大黒神島へ
NLP基地を作ろうと企んだのもその一例だった。
岩国基地は7年前から沖合移設事業が始まった。5年後には面積も今よりは1.4 倍に広がり、水深13mの巨大岸壁や1km沖には2本目の滑走路が完成する。
戦後59年経った岩国基地は埋め立てられたエリアを中心に再配置が進み、米軍も自衛隊 もどんどん新しい施設を建設中だ。
これほど条件の整った移設先は他には無い。100 万人近い人口が密集する厚木基地から 岩国へ部隊を移転させ、おまけNLPまで実施出来るとなれば最高の策である。
すべては12年前の、NLP容認の「密約」から…

「密約」が書きこまれた合意議事録
3年前、筆者(田村)は国と県や岩国市が交わした重大な「密約」を発見した。
いまから12年前、92年6月に国・県、市の実務責任者が交わした岩国基地沖合移設事業 に関する合意議事録にはとんでもない一項が書き込まれていた。
「NLPについて県、市は将来とも受け入れざるを得ないと思慮」。この密約作成後か ら沖合移設事業の協議はトントン拍子で進み漁業補償交渉も同年に妥結した。そして「密
約」から5年後の97年6月、沖合移設事業は着工したのである 岩国市民は「悲願」とも てはやした沖合移設事業で厚木基地の海軍部隊を、そしてNLP基地を誘致した形になっ
たのだ。
これから国は、市庁舎建設の補助金や分譲見通しの暗い「愛宕山開発」の用地を厚木か らの移転部隊の住宅用地として買い上げるとか、いろいろな地域振興策を見せつけて課題
の実現を迫って来るだろう。
先日も、筆者を訪れた東京の軍事専門家の声が耳に残った。「米軍関係者は地元の意向を随分気にしている。市長や県知事がハッキリとノーの声を
出せば、事態は変わる」
市民の世論がしっかり後押しをし、明快に国へ「移転反対!」の 答えを宣言させよう。
(田村順玄・岩国市議)