米軍再編・07年イワクニの夏
「アメとムチ」に、もう一踏ん張り! 岩国市民はへこたれない

現在の市庁舎(左)と、建設中の新庁舎 (07.7.1 撮影)
05年10月の着工から1年10ヵ月、岩国市役所新庁舎の建設工事が急ピッチで進ん
でいる。一辺が約60メ−トル・6階
建ての新築工事は鉄骨も組上がりコンクリ−トの打ち込みが始まった。
59年に建設された現庁舎が老朽化し、古い耐震基準や相次ぐ地震の被害が目立ち始め
て、危険な状態が指摘されてきた。こうした事情で計画を繰り上げ着工したこの新市庁
舎建設工事が、岩国市にいま大きな重荷となってのしかかっている。
全国ほとんどの自治体で、庁舎建設に国の補助金をアテにした例は少ない。し
かし、岩国は違った。戦後60年を過ぎた今も外国の軍隊が駐留し、あらゆる街づくりの弊
害になりながらも結果的には「共存」という形で居すわる米軍基地。その基地が存在し続ける
ことを条件に求めてきた地域振興策と言う麻薬が、岩国という町を蝕んでいるのだ。
全国で唯一、遮二無二押しつけを図る今回の「米軍再編」と言うプログラムに、「ノ−
」という市民意思を突きつけた岩国市民の住民投票は、国に大きな衝撃を与えた。その後
の市長選挙や県議選でも、艦載機移駐反対という市民の揺るぎない思いは引き継がれ、市長の固
い意思を支えてきた。このような現実とは裏腹に、早々と国の露払いとなり行政面での牽
制を繰り返す山口県知事や岩国市議会保守系会派。国が振るう「ムチ」の集大
成が、新岩国市庁舎建設補助金のカットである。
着工から3年で市庁舎建設を完成させるために、国と協議して固まった補助金総額は約
49億円。総事業費96億円のほぼ半額分に当たり防衛施設庁の補助金は06年2月に約
束された。そしてこれまで05年度と06年度で約14億円が予定通り交付された。
最終年の07年度で35億円の交付を受け工事は完成することになっていたが・・。
もともと、この市庁舎建設補助金はSACO合意による関連経費補助として位置づけら
れ、国のテーブルに乗せられた。沖縄・普天間基地の全面返還が必須条件で、KC130
空中給油機の岩国移転を岩国市民が受け入れることが条件である。その普天間基地返還の
前提となる代替ヘリポ−ト建設は10年間遅々として進まず、閣議決定までなされたもの
の振出しに戻った状態になっている。
このような状況の中で新たに浮上したのが今回の「米軍再編」案であり、国は自らの失
政をさらに増幅させ「新岩国市庁舎建設補助金」の補助目的を一方的に大きく改変し示し
てきた。それはこの補助金をこれまでの「SACO合意」と言う条件ではなく、「米軍再
編」と言う新たな枠の中で、35億円補助の是非を検討するというのだ。このル−ルに則
れば「再編に異議あり」という井原市長の姿勢が変わらない限り補助の基準には
適合しない、というのが今の国の勝手な言い分である。
岩国市長はやむを得ず、07年度予算案には入るアテの無い補助金から合併特例債の導
入に変更を決断、しかしこれを受けた議会の結果は再編容認を主張する保守系会派の圧力
で「ノ−」に。だがそれは17対15という拮抗した、僅かな差での否決だった。
その
後この予算は3月議会だけではなく、再度提案した6月定例会でも同様に否決される異常
な結果となった。当初予算が2度も否決された例は全国でも初めてだという、忌まわしい
結果だ。
15万市民の生活を司る660億円の一般会計予算が存在しないという、極めて
驚愕の事態に岩国市民は心配し動揺も走った。こうした状況を受け予算否決から3日後、
暫定予算も消滅する前日の6月29日、市長は苦渋の決断をし35億円の原資は国からの
補助金を当てるという変更予算案を臨時議会に提出、07年度岩国市一般会計予算は何と
か成立した。
この新たな市長提案を容認派市議は「やっと井原市長も再編反対の姿勢が容認へ転じる
第一歩だ」と評価し期待したが、市長の発言にはいささかも変化した内容はなく、問題
の先送りと言うのがとりあえず今の結果となった。
恐らくこのまま時間が推移すれば9月以降年度末までに、国からの補助方針に可否の判
定が下り最悪の場合は35億円の歳入見込みは無くなることも想定される。そうなれば岩
国市財政は一層窮地に押しやられ市長も厳しい対応を迫られる。
確かに、先の通常国会では今回の米軍再編計画を促進するための「特別措置法」が成立
したが、この「アメ」の法律が反対をし続ける岩国市へ適用される予定はない。仮
に、岩国市長が将来いまの再編計画に容認の方針を示し法の適用を受けるとしても、それ
はこれからのことだ。今回の岩国市新市庁舎建設補助金のカットという「ムチ」はSACO
合意にともなう措置を一方的に破棄するもので、到底容認出来る話ではない。このように
理不尽な国のやり口が罷り通る事になれば、日本の民主主義は壊滅したも同然だ。
井原勝介岩国市長は今春全国の市民運動団体にメ−ルや手紙を送り、このように汚い国
の実態を紹介、「新市庁舎建設費の募金」を呼びかけた。市長の政策に共感した岩国市内
の市民団体がはじめた同趣旨の募金活動への添え書きとしての活動だ。
彼らはその募金
額が35億円という不足額にとても到達出来るものではない事は重々承知の上だが、この
運動を通じ国が今岩国市民に押しつけている実態を、全国の人々に知って頂く事が出来れば
大きな成果だと頑張っている。
岩国市民が頑張っている米
軍再編計画・厚木艦載機部隊の移転反対という課題に、この運動を通じ新市庁舎建設費カ
ンパを協力された方も反対の意識を共有出来ること。また、しっかり反対を貫いている井原勝
介岩国市長への精神的支えとなれること。このことも「新市庁舎建設費の募金」運動に大きな価値が見いだせる点だ。
同時に市長自身もこうした全国の人々の
熱い思いを背中に受け、今後の政治判断を進める上でもこうしたひとびとの思いが後ろに
あることをしっかり意識されることだろう。
「原爆もしょうがない」と発言し辞任に追い込まれた久間氏の後を引き継いだ小池防衛大
臣の就任早々の記者会見の中で、記者から岩国基地を巡る今後の対応を聞かれ「岩国」が広島県
に有ると勘違いした答弁には呆れる。
いやそれ以上に、いま岩国に突きつけられている新市庁
舎建設補助金を巡る「ムチ」の成り行きが、片田舎の些細な問題として片付けられること
を決して許すことはできない。この強い意思をもって岩国市民はしっかり頑張っていることを全国の仲間の皆さんに伝えて行
きたい。07年夏、岩国からの報告である。
リムピ−ス岩国 田村順玄(岩国市議)
'2007-7-21|HOME|