庁舎補助金カットに市民の「怒」
岩国・錦帯橋河原で1万人の抗議集会



1万の「怒」を一斉に掲げる集会参加者 (07.12.1 田村 撮影)

 12月1日午後、アメリカ海兵隊の基地がある山口県岩国市で市民の怒りが爆発した。
 約束をしておきながら、再編絡みで国の言う事を聞かない自治体だという見せしめの補 助金カット。9・11テロ後、アメリカの軍事戦略の変更に沿って進む在日米軍の再編計 画がその核となる座間・名護・岩国で足踏みという現実で、焦る国を象徴する事態だ。

 11月16日、岩国市議会はこの補助金に変わる合併特例債を使った庁舎建設財源確保 の審議をしたが、とうとう4度目の否決と言う事態を招いた。国に加担した再編容認の保 守系議員が、井原勝介市長の再編反対の姿勢を揺さぶる身内からの嫌がらせ行為。
   このままでは岩国市は来年以降の予算編成はおろか、今年のこれからの健全な市政運営 も市民に約束出来なくなる。それもこれも元凶は全て、国が不当にカットしている市庁舎 建設補助金35億円から端を発しているのだ。

 これに屈して岩国市が破綻するという事態を招いたら大変、地方自治も憲法の理念も有 ったものでは無い。ましてや、「米軍再編・防衛」を「国の専管事項」として無理やり押しつけるため に、このような理不尽な仕打ちを行うなど、到底許される話ではない。
いまここで岩国市が 国の思うように屈伏すれば、同様の課題を持つ全国の自治体がドミノの様に無理難題を押 しつけられてしまう。なんとしてもここでもう一踏ん張り、頑張らなければならない。

 そんな思いを込めて11月上旬、筆者を含め再編反対を貫く数人の市議が立ち上がり、 「12.1国の仕打ちに怒りの1万人集会in錦帯橋」という市民集会を企画した。
僅か 二十日間の準備行動で幕が開いた集会当日、岩国の事態を心配した全国各地からの支援す る人々から会場は埋まりはじめた。そのあとから、ぞくぞく続く岩国市民の顔・顔・顔。

 12月1日(土曜日)を「いかりの怒曜日」と読み替え、集会コンセプトは「怒」、畳 10畳の大型習字の「怒」からはじまり、参加者がしっかり天にかざしたブルーのプログ ラムは裏に大きく「怒」の文字が書かれていた。1万人の人々が一斉にかざした「怒」は きっと防衛省を震撼させ、大きな圧力を与えた筈だ。

 集会には横道孝弘衆議院副議長をはじめ9人の衆参議員が勢揃いし力強く今後の対応を 約束した。会場ではアピ−ル文で国のこのような理不尽な仕打ちを考え直させる事と、自 分たちの力ででも、35億円の財源は確保しようと言う意気込みが示されなんと2百数十 万円のカンパも集まった。参加者の熱意を実践し、証明した姿であった。

 集会の終わりは童謡「ふるさと」、錦帯橋そばを流れる錦川の河原に1万人の歌声が響 き国には負けないという決意が発せられた。小さな地方都市の集会に1万人という多くの 人々が集まった、この事実がこれからの運動の展望を大きく開かせるものだと確信した。

(田村順玄・岩国市議)


'2007-12-2|HOME|