基地のTV電波と混信恐れ

ワイヤレスマイク 岩国市内で電波の免許出ず!


尾津町の高台から北東方向を見る。白丸が「シンフォニア岩国」。背景は厳島(宮島)

岩国市内には「岩国市民会館」と「シンフォニア岩国」という千席を超える収容能力の劇場施設があり、東京や大阪の大劇場には叶わな いものの一応必要な設備は全て整い、多彩な文化行事が開催されている。

 ところがこれまで、劇団四季の「キャッツ」のような演目の大型ミュ−ジカルなどは公演されたという話を聞いたことが無い。このよう な大型劇団の演劇を鑑賞する機会を岩国市の教育委員会さえも時には有ってもよいと認め、5年前の市民芸術祭では「劇団四季」公演を 受け入れる事になった。「青い鳥」という演目まで決まり関連予算も確保、公演準備が進んでいたが突然、劇団四季から公演辞退の申し出 が来た。「岩国基地との関係でワイヤレスマイクの電波使用免許が降りないから」というのがその理由だった。

 かねてからこうした大型劇団の公演が岩国で無いことに疑問を感じていた筆者も最近、この情報を入手し12月議会の一般質問で取り上げ 「基地がもたらす市民生活の弊害」というテ−マで岩国市の対応を質した。

劇団四季などの大型ミュ−ジカルは多数の俳優が出演し、その公演には30本余のワイヤレスマイクを使う。通常の音響設備とは別に持 ち込むワイヤレスマイクの設備は弱い電波を発信、しかしその電波が岩国基地のテレビ電波と混信の恐れが有るため国の免許が必要なの だが、総務省の許可が降りないと言うのだ。

 これは現在では岩国と三沢だけの問題で、いずれも米軍基地が有る町という共通した条件のもと、他の米軍基地の町では公演が出来ると いうからおかしな話。岩国基地に配属された米兵やその家族・約5000人に見せるテレビ放送電波がわずか数時間「混信の恐れがある」 ということで「15万市民の文化行事は我慢せよ!」という非常識な安保の現実があることを再認識した。

 筆者の質問に市当局はその実態を認めたものの、その対策として「まだ実用化されていないデジタル方式の実施まで待て! 」と他人 事の答弁。全国に有る米軍基地で現在、米軍機の飛行時間は岩国だけ深夜23時まで許されているという現実が有る。日米政府の公式協議で も取り上げられず押しつけられているこの実態や、「米軍再編」と言えば「地方の片田舎(岩国)へ一番迷惑で大きな爆音を発する部隊を 集約すればすべて解決」といった政府の企みがこんな事柄でも現れている。

 筆者は安全・安心という岩国市の再編対策も大切ではあるが、市民生活に直結したこのような課題でも、もっと積極的に、政府や米国側 に物申すよう、福田良彦岩国市長に厳しく求めた。市長も市民生活に直結したこうした課題でも、この理不尽な仕組みの問題点を認識、 改善されるよう国へ要請する等、努力をすると約束した。

(田村順玄・岩国市議、初出:おはよう愛宕山08.12.21)(写真はすべて 06.4.25 撮影)


門前町の米軍住宅。後方は岩国基地滑走路。背景は大黒神島


'2009-1-4|HOME|