岩国にCVW5司令部など建設。では厚木はどうなる?

米国政府が金を払う事業への参加の機会均等を確保するために、「調達情報」の第一報は誰でもアクセスできるように公表されている。 軍関係の建設情報も、少なくとも第一報は公表される。
岩国基地の中に海兵隊第12航空群司令部と第5空母航空団司令部が入る建物と、軍用機のシミュレーターを収容する建物を建設する、という 第一報がFBO(Federal Business Opportunities)のページに掲載されたのは4月9日だった。

これは、業者がこの工事を行う資格・能力があるかを調べるための一次選抜応募要綱で、応募の締め切りは5月11日となっている。締め切 ったあとで、発注者の陸軍工兵隊が審査をして、合格した業者に改めて提案書(RFP)を出すように、細かな仕様書を渡して要求する、 という手順になる。
業者が決まり、建設が始まるまでには未だ少し時間がかかる。

建設するのは2棟の建物だ。一つには両司令部と通信施設が入り、ブリーフィング・ルームや情報センターなども加わる。
もう一つの建物は、フライト・シミュレーターを収容する。いずれも鉄筋コンクリート2階建てだ。

米軍再編でロードマップに載った艦載機の岩国移転で、司令部の建設が具体的な形で出てきたのは初めてだ。この調達情報の存在を 記者会見で明らかにした田村順玄・岩国市議は「大幅な岩国基地の機能強化だ。海軍と海兵隊の航空部隊の一体運用への一里塚だ」と 言っている。

岩国基地が格段に強化されることは明らかだが、その裏で本当に厚木基地から艦載機がいなくなるのか、岩国基地と厚木基地の2つの基地 を使って艦載機が飛び回ることになるのではないか、という懸念が残る。
司令部はもちろんのこと、ブリーフィングルームからシミュレーターまで完備した施設を岩国に作る以上は、厚木に現存するそれらの施設 が不要になることは明らかだ。

「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のために必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。 合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」(日米地位協定第2条3)
「再編実施のための日米のロードマップ」に記された「艦載機の厚木から岩国への移駐」には、実施後の厚木基地の米軍使用施設の返還、 艦載機が使用している大島沖の訓練空域RJ−116の返還が当然含まれていなければならない。
しかし、ロードマップ発表以降、日米合同委員会で厚木基地や訓練空域の返還について「検討」されたという話しは聞かれない。また、 米軍が大島沖の訓練空域を手放さないのが、いまだに空域調整に手間取っている原因の一つではないのか。

岩国への艦載機の移駐は、騒音の岩国への押し付けに他ならない。その上、施設や空域を返還せずに艦載機が厚木でも騒音を響かせるとす れば、米軍再編についての日本政府の説明は「真っ赤なうそ」でしかない。
「真っ赤なうそ」かどうかの判断の決め手の一つが、地位協定第2条3を厚木の米軍施設や訓練空域に適用するか否かだ。

(RIMPEACE編集部)


FBOが公表した、岩国での司令部建物等建設業者の一次選抜応募要綱のヘッダー 


2009-4-26|HOME|