岩国基地新滑走路、誘導路にも着陸可能な装置



赤のラインで囲ったのが誘導路のアレスティング・ギア。白がメイン滑走路のアレスティング・ギア
(2011.1.17 撮影)

拡張された岩国基地の新滑走路の東側に平行に延びる誘導路に、アレスティング・ギア(拘束制動装置)が設置されていることが確認 された。艦載機や海兵隊戦闘攻撃機の尾部のフックを引っ掛けて強制的に航空機を止める装置だ。
車輪の故障やエンジントラブルで緊急着陸する機体が、この装置を使って急制動をかけて停止することが多い。

滑走路の両端近くと中央部にこの装置が設置される。岩国の新滑走路にもある。
この装置が設置されているということは、この装置を使って誘導路に着陸することがあるということであり、誘導路の強度が航空機の 着陸に耐えるものになっていることをも示している。
物理的に着陸可能な滑走路がメイン滑走路のほかに一本造られたのだ。

拡張前の岩国基地の滑走路でも、誘導路が緊急時の予備滑走路となっていた。過去にスカイホーク が誘導路に降りたこともあったという。
厚木の艦載機を岩国に移す米軍再編の「目玉」の一つが、艦載機ハンガーの建設など施設の面から進められている。一気に岩国の戦闘 攻撃機が倍以上になる計算だ。仮に倍になったとすると、滑走路の使用頻度も倍になりオーバーフローする事態が考えられる。

これまでの誘導路は緊急対応のための予備滑走路だったが、艦載機の移駐を1本の滑走路で迎えるに際して、恒常的に2本目の滑走路とし て誘導路が使われることが想定されてはいないのだろうか。
これまで行われなかった編隊着陸を一片の通告で覆した米軍のやり方を繰り返させてはならない。滑走路と同じ強度を持ち拘束装置を 備えた誘導路の使い方を、明確な形で制限しておかねばならない。

(田村順玄・岩国市議)


現況に近い岩国基地の航空写真。赤丸が誘導路上のアレスティング・ギアの推定位置
(中国四国防衛局が配布しているパンフの写真を使用して作成)


2011-1-21|HOME|