岩国基地誘導路は滑走路と同等の強度


普天間基地の誘導路を滑走路に向かう海兵隊ホーネット。誘導路に拘束装置は無い(2008.12.19 撮影)

  「FA18戦闘攻撃機の離着陸を支援する滑走路および誘導路はすべてアレスティング・ギアが装備されていなければならない」
岩国基地の誘導路にアレスティング・ギアが設置されていることを明らかにした筆者(田村)の問題意識を受けて取材したマスコミ に対して、米海兵隊岩国基地はこのように答えた(中国新聞 2011.1.22)
岩国基地の東側誘導路は、FA18戦闘攻撃機の離着陸を支援するものだ、と認めた。規則だから使おうと使うまいとともかく設置してい る、とでも言いたいのだろうが、他の基地の実態と比較すると、誘導路でも滑走路の代わりにホーネットの離着陸を支援する、という岩国 基地の特殊性が見えてくる。

海兵隊の航空基地、そして固定翼機の滑走路が1本という普天間基地と比較してみよう。
普天間基地も(けしからんことに)ホーネットが離着陸を行う。しかし、普天間基地の滑走路と平行に走る誘導路にはアレスティング・ ギアはない。メイン滑走路に降りられない場合は別の基地に飛ぶからだ。
嘉手納の第18航空団のフライト手順書によれば、F15などの緊急時の代替着陸基地は普天間で、普天間の気象条件などがよくないとき は那覇空港に降りることになっている。逆に普天間基地の一本しかない滑走路が使用不能になれば、嘉手納にダイバートすることは想像に 難くない。
岩国でもよほどの悪条件が重ならない限り、ダイバートする自衛隊基地には築城を始めとして事欠かない。

となると、岩国の誘導路を滑走路と同等の強度にする狙いは、緊急着陸ではなく、ホーネットの離陸を支援する、つまりメイン滑走路が使 えないときに離陸用の補助滑走路として誘導路を使うことが考えられているのではないだろうか。
米軍再編が日米政府の思惑通りに進められれば、固定翼艦載機60機、海兵隊のホーネット36機が岩国基地にひしめくことになる。 滑走路が長期間使用不能になったときに、滑走路並みに強化された誘導路から、100機近い固定翼機をともかく飛ばすための補助滑走路 の位置づけがされているのではないか。

(田村 順玄・岩国市議)



嘉手納のアレスティング・ワイヤーを使って急制動したF15戦闘機。手前の滑走路にもワイヤーが見える(2005.7.8 撮影)


2011-1-22|HOME|