岩国移駐予定の給油機、15機の新証拠


FBOのページに掲載された、普天間KC130メンテ契約関連情報

普天間基地の空中給油・輸送部隊に属するKC-130空中給油機が、旧型のKC-130F/R型からKC-130J型に更新・追加配備されている。
J型への移行期に、KC-130Jの部隊レベルのメンテナンスを支援するCFT(Contract Field Team)契約に係るRFI(Request for Information)がFBOに載った。2月8日付けだ。
入札応募を求める前に、会社概要などの申告を求めるもので、締め切りは2011年3月8日となっている。

期間は基本の1年+オプション1年で、CFT契約の内容については、業績連動業務仕様書(Performance Work Statement)を参照のこと、というコメントが付けられている。
注目したいのは、この仕様書の中で、なぜCFT契約を結ぶのか、ということを説明したバックグラウンドの項だ。

「VMGR152(第152空中給油飛行隊、現在普天間にいる部隊)はKC-130F/RからKC-130Jへの機種交代を進めている。通常の機種交代の場合は、すべての乗組員や整備兵が新機種に対応する訓練が出来るように、12ヶ月から18ヶ月、現役から退く。しかしこの移行期間中にも、太平洋海兵隊が太平洋軍の責任エリア内で行っている作戦行動が、第1海兵航空群の空輸能力を必要としている。
VMGR152は現在6機のKC-130Jと、3機のKC-130F/Rを運用している。追加のKC-130Jは08年8月、同9月、10月、11月、12月と09年1月に配備されるスケジュールだ。そして3機のKC-130F/Rは3機のKC-130Jに置き換えられる。その結果、全部で15機のKC-130JがこのCFT契約期間中に配備されることになる。
このKC-130Jの取得の過程で、VMGR152は太平洋海兵隊の要求する作戦行動を高いテンポでこなしながら、整備兵や操縦士たちの、機種交代にともなう訓練も行うことになる。」(Performance Work Statementより、抄訳リムピース)

なぜ、今になってCTF契約を結ぶことに踏み出したのかは不明だが、普天間基地の空中給油機がごく近いうちに15機になることは確定している言い方だ。

2009年10月と2010年10月に、海兵隊司令部が出した「海兵隊航空計画」に基づき久米山口県議が山口県知事に、KC130の岩国移駐機数が12機から15機になっていると指摘して国の見解を問い合わせるように申し入れた。
帰ってきた国の回答は「移駐するKC-130を15機に増加する件について米側から公式に提案されたと言う事実はない」というものだった。

筆者(田村)が2010年12月の岩国市議会で、2011会計年度「米海兵隊航空計画」によると、岩国基地へのへの配備が予定されているKC130空中給油機にハーベスト・ホークという爆撃機能を持つ装置が装備され、さらに、配備機数がこれまでの12機から15機に増加されることになっているが、市としてどのように対応していくのか、と質問した。
岩国市側の答弁は以下の通り。

「2011会計年度における米海兵隊航空計画の記述に基づき、田村議員から御質問のあった事項について中国四国防衛局に照会を行い、先日回答があったところでございます。
 まず、現在普天間基地に常駐している第152空中給油飛行隊のKC−130空中給油機に、ハーベスト・ホークと名づけられたキットを3セット配備する計画については、2011会計年度米海兵隊航空計画は、米国国防省として正式に承認した計画ではなく、記述されている計画に内容については、現時点で決まっているわけではないと承知している。また、再編実施のための日米ロードマップでは、普天間基地から岩国基地に移駐する予定のKC−130空中給油機数は12機とされているが、同計画では15機とされていることについては、KC−130の岩国飛行場への移駐については、現在、日米間で協議中ではあるが、移駐するKC−130を15機にする旨米側から正式に提案されたという事実はなく、我が国政府としては、普天間飛行場から岩国飛行場へ移駐するKC−130の機数は、SACO最終報告に示すとおり、12機であると考えている、とされております。
 国からこうした回答があったことから、現時点においてKC−130空中給油機に関し、ハーベスト・ホークと名づけられたキットの装備及び移駐機数の変更はないものと認識しております。」(基地政策担当部長、議事録より)

KC−130の機数はについては米国から正式に提案されていないから変わらない、という国の説明が岩国市の認識ともなっている。
しかし今回、KC−130の整備に関係して、米国政府機関の出したリクエストの説明資料として、普天間基地のKC-130Jが15機になると明記されたものが出された。米海兵隊航空計画の記述と同じ内容だ。 しかも、契約内容の基本に係る機数について、明確に15機と言い切っている。

ここまで15機に増加するという証拠がそろっていてなお、米国から正式に提案が無いから12機で変らない、と言い続けるのは、岩国市民や日本国民を欺くものだ。
米国が言ってこないからではなく、米国に確かめることが最低限必要だ。
「今後ともあらゆる機会を通じて情報収集に努めるとともに、基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できないとの基地対策の基本姿勢に照らして対応を検討してまいりたい」という答弁とさえ食い違う、情報収集・判断のサボタージュは許されない。

(田村順玄・岩国市議、RIMPEACE編集部)


普天間基地に着陸寸前のKC130J空中給油機(2010.12.10 撮影)


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