緊急提言 愛宕山に「被災者支援住宅」を

3月11日の「東日本大震災」による多くの被災者救援のために、国、自治体、企業、国民の総力を挙げて復旧・復興に 取り組まなければならない。ニュータウン建設をめざす開発事業が廃止されて2年余、今こそこの土地に「被災者支援住宅」を建設し て、被災者の方々の生活支援に寄与すべきである、との緊急提言を「愛宕山を守る市民連絡協議会」が山口県知事に行った。

(田村順玄・岩国市議)


2011年4月4日

山口県知事 二井関成様

愛宕山開発跡地に東日本大震災被災地住民のための
「被災者支援住宅」(仮設住宅・恒久住宅)の建設を! 【緊急提言】


愛宕山を守る市民連絡協議会
世話人代表 岡村寛

 愛宕山に計画人口5,600人のニュータウン建設を目指す新住宅市街地開発事業が、2009年2月に廃止されて2年以上が経ち、日々90万円の 赤字を累積しながら、市民を隔てる高いフェンスに囲まれて虚しく荒地と化している。
 貴職は、住宅供給公社の赤字解消を至上命題として、岩国市のスポーツ施設整備など、法を無視した要望の国との協議を見守ることに 終始し、知事としての責任を放棄しているように見える。
2010年度199億円愛宕山買取り予算は、防衛大臣等二度の地元説明会を強行しながらも、予算執行を断念し、次年度繰越に追い込まれ た。
そのような中で、3月11日に突如「東日本大震災」が日本を襲った。地震と 大津波により数万人の命が奪われ、福島県民及び周辺の人 たちは、原発事故による放射能汚染の拡大に不安を募らせながら、苦難の日々を送っており、事態収拾の長期化は必至の情勢となってい る。

今こそ、国、自治体、企業、国民の総力を挙げて、復旧・復興に取りかからなければならない。被災者の再建こそが急務であり、不要不急 の行政経費は執行すべきではない。
そこで、私たち愛宕山周辺住民、岩国市民は、貴職に対し、次の理由により、「愛宕山開発事業跡地に東日本大震災被災地住民のための 「被災者支援住宅」(仮設住宅・恒久住宅)の建設」を緊急提言する。

1 愛宕山開発地は75ha(うち、平地部分44ha)にのぼり、被災者の方々が集団移転するための仮設住宅建設が即可能な適地である。

2 愛宕山は市街地の中心部に位置し、利便で環境の良い場所でもあり、しかも、用地内の岩国市の「まちづくりエリア」には被災者の 生活に不可欠な病院、福祉施設、防災施設が整っている。

3 米軍再編計画は、ワンパッケージとされており、沖縄・ 普天間基地移設や 海兵隊のグアムへの移転・インフラ整備等大幅に遅れて いるなかで、2014年完了予定も大幅に遅れることが想定される。岩国だけ先行して進める理由はない。

4 日本政府が、2011年度に震災復興のために使える予備費は、1.2兆円しかない。米軍住宅建設をこのまま続ければ、用地購入費 200億円に加え、住宅建設費600億円、運動施設整備費100億円の総額900億円もの巨額になる。3月11日以降、被災地住民の住 宅建設・生活復旧をさしおいて、財政破綻のもとで、日米同盟強化の名目で血税をつぎ込むことは、到底、国民の納得は得られない。

5 岩国は広島に近く、65年前の原子爆弾の被爆者の中で 岩国市や山口県に避難し、移り住んだ人も少なくない。被爆者医療の経験で いえば、我が国で広島、長崎に替わる都市はない。
 福島原発周辺住民にとって、被曝の不安は看過できない。愛宕山への原発避難地域の住民の集団移転は、被曝の不安を抱える被災者に とって極めて安心の支援体制の提供となる。

6 現在「愛宕山新住宅市街地開発事業認可取消処分取消請 求訴訟(行政訴訟)」を係争中であるが、被告である「国」は本年2月24日 第6回口頭弁論において、事業廃止の根拠法令について、その不在を白状した。 つまり、違法な「超法規的措置」であった。これを適法化 する為には、新住事業を上回る「公共性・公益性」の存在が必要であるが、公社の地方住宅供給公社法上の業務範囲を超える違法な米軍住 宅建設ではもちろんありえず、当面の最大の公共性のある事業となる「被災者支援住宅」建設によってはじめて合法化できる。

7 私たち愛宕山周辺住民はもちろん、すべての岩国市民 は、被災された方々に対し何らかの支援を行いたい気持ちを有している。愛宕山 への「被災者支援住宅」の建設はその最善の道である。


貴職におかれては、以上の提言を速やかに、県のすべて(部局、議会、公社)を挙げて、ご検討いただき、その早期実現を心から願うもの である。


2011-4-7|HOME|