「愛宕山」いよいよ正念場
防衛省が愛宕山買い取り価格提示! 168億9千万円



10月17日13時過ぎ、岩国市役所前庭。愛宕山を守る市民連絡協議会(代表世話人・岡村寛)の決起集会

国民体育大会が山口県で開催され、知事の言う「48年振りの悲願」であった天皇杯と皇后杯の獲得が実現した。直後、それを見取った 国が今度は動きだした。10月17日、渡辺周防衛副大臣を使者にした「愛宕山開発跡地の買い取り方針」が、県と市へ伝達されたのだ。 愛宕山開発跡地60ヘクタールのうち、岩国市が主導する「まちづくり計画15ヘクタール」を除く残りの約45ヘクタールを、厚木艦載 機部隊の兵士・家族のための住宅建設用地として買い取る意向を民主党政府が固めた。

 国は2010年度政府予算で199億円を計上しながら、執行するチャンスが無くそのタイミングを計り機をうかがっていた。2010 年9月、国はこれらの用地に艦載機容認姿勢の福田岩国市長が求めていたスポーツ施設と併設した形の米軍住宅建設案を地元へ示し、いわゆ る「アメとムチ」の典型的な手法で実施を探っていた。

 あれから1年経ったこの度、現状の地価評価を基に国の買い取り価格は168億9千万円と算定し売却を迫って来た。表面的には199 億円と予算化されてきた国の当初の買取額からみれば約30億円余り減額されてはいるが、鑑定評価を経た結果という国の説明に県知事は 概ね納得をしている模様で、併せて持参した回答のスポーツ施設建設の方針には岩国市長も二つ返事で「了解」のサインを出した。

 こうしてこの開発跡地に米軍住宅を建てるということが、それは即ち艦載機の岩国基地への移転を確定させてしまうということであり、 その政治プログラムが動きだしたのだ。 しかも、愛宕山開発で生じた負債処理だけの目的で、国の基本的な「米軍再編」という国防策に まで岩国市民が巻き込まれていくのというのは何としても納得出来ない。このまま、借金解消という目的だけで愛宕山開発跡地を売却して はならないことである。

 来年3月末をもって、愛宕山開発の事業者である山口県住宅供給公社は解散するが、本年12月議会においてその負債清算と併せ公社の 解散手続きを議会に図る日程がある。さらに岩国市長は、大接戦で勝ち抜いた市長選挙の改選時期を早くも明年1月に迎える。共に時間的 制約を抱えた大きな課題を持つ二人の責任者が、目の前に立ちはだかっているこうした課題を解決する機会として、愛宕山開発跡地の国へ の売却を具体的に決断する手続きに入ったのである。

 防衛省のこうした動きに地元住民は強く反発、愛宕山を守る市民連絡協議会に結集する市民は緊急抗議行動を実施して渡辺副大臣を迎え 打った。10月17日午後、渡辺副大臣の岩国市役所への訪問前に庁舎前庭で抗議集会を行い、プラカードや幟旗で「愛宕山に米軍住宅は いらない!」と気勢を挙げた。

 一方、10月17日の防衛副大臣の提案を受けた県知事と岩国市長はさっそく、国へ回答するための行動として市民へ説明のアクション に入った。11月8日、まず市議会全員議会を開催 市会議員へ市長としての対応方針を示す。その結果がどう出ようと市民への説明を 12・13日の2日間開催、1日に3カ所と2ヵ所という強行スケジュールで計5ヵ所実施し、結果はどうあろうと舞台を県知事へと送り 込む。山口県知事も11月29日が開会予定の県議会までに県レペルの所定の手続きを行い、国への売却容認へ突き進む手筈が進められる 模様。県・市の一刻も早い愛宕山米軍基地化の動きがここに見えてきた。

 6年前、岩国市民の圧倒的な民意を証明した住民投票の結果 が、「厚木からの空母艦載機移転は容認しない」という今も変わらない市民意思であった。こうした思いを貫き通すために、私達は決して このような国や県知事や市長の策略を開けて通す訳にはいかない。
私達はこれからの説明会などでも、徹底的に彼らの通らぬ通りを追求し続けていくが、さらにその意思を一層固めるために、決起の取り組 みも盛り上げてゆく。

 昨年8月から開始した愛宕山開発跡地を前にした「愛宕山見守りの集い」は、毎月1・11・21日と座り込み行動が続いている。すでに その回数は44回を数え、延べ参加者も2,500名余に達した。こうした地味ではあるが粘り強い取り組みと共に、さらに運動の幅を広 げていく為にとこのたび、インパクトのある大衆集会の開催も企画した。県や市の安易な跡地売却の方針を撤回させるために、11月23 日には愛宕神社前広場を会場に市民集会を開催する。「守ろう愛宕山・来るな艦載機!11・23市民集会」の開催である。

 大人も子供も、政党や組織のわだかまりや利害を乗り越えて、愛宕山を米軍基地にしないことと艦載機を岩国に寄越さないために、すべ ての市民が大結集する集会である。
 ともかく11月23日は午前11時開会の愛宕山市民集会へ皆で参加しよう。そして、愛宕山の米軍基地化阻止の取り組みを継続してい こう。

(リムピース 共同代表・岩国市議  田村 順玄)(2011.10.17 集会参加者撮影・提供)


「渡辺周防衛副大臣の岩国市長、岩国市議会議長への買取り価格等提示」の模様(10.17 岩国市役所の会議室)

『守ろう愛宕山・来るな艦載機!11.23市民集会』へ結集を・・・


2011-11-4|HOME|