2012年を希望の年に!
「岩国基地の機能強化」と「愛宕山の米軍住宅」に反対を貫こう!(2)

愛宕山の米軍基地化の道筋をつける知事・市長


愛宕山の開発地。クレーンが立っているのは病院の建設現場。その右が運動施設の建設場所だ(11.12.31 撮影)

 6年前、圧倒的な岩国市民が意識を一つにしてその意思を確認した「住民投票」。その結果をしっかり受け止め、政府に敢然と立ち向 かった井原勝介前市長が当時の自民党政府の醜いムチの政策、市庁舎建設補助金のカットで退陣に追い込まれ、そのどさくさで誕生したの が福田現市長。早いもので4年たった。1月29日にはその出直し選挙があり、大きく右カーブした岩国市政の舵を切り返すことが出来る か正念場のときが来た。

 この4年間、とりわけ最近1年間の岩国市長や山口県知事を通じて国が進める基地政策は尋常ではない。かって原発立地の街にばらまか れた交付金と同様、これでもかと言いたくなる新たなメニューを連発し市民に押しつけてくる。それは県や市という事業主体の垣根まで越 えて市民・県民が喜ぶ事業ならドンドン実施して「反対」「賛成」の世論を遠ざけるような国の現ナマ攻勢である。岩国基地を、艦載機移 転の受け皿として確定したい国のお先棒を担ぐ市長は、まさに「日本国防衛省岩国出張所長」といった様だ。

 11万筆を越える署名を集め、「愛宕山開発地の米軍住宅化反対」の取り組みが3年前から盛り上がった。250億円の事業で生じた 借金を清算したいと、山口県知事と岩国市長は政府へ米軍住宅用地として売却の意向を示した。自民党政府の時代には出て来なかった結論 だったが、政権交代後の民主党政府はいち早く購入の意向を示した。

 一昨年9月、購入すればその土地に270戸の高級将校の住宅と米兵・家族用福祉施設を建設すると方針が示され、今年10月には一年 間の検討内容が開封され政府は愛宕山の開発地の4分の3と周囲の残地森林の合計75ヘクタールを約169億円で購入し、岩国市が要望 していた「市民が自由に使用出来る運動施設」の建設を100パーセント受け入れた形の活用案を提示してきた。

 現市長を支える市民団体はこうした政府の愛宕山活用案を諸手を上げて賛意を表明し、借金解消だけが当面の政策という基地容認派市議 は政府へのラブコールで県知事と市長の愛宕山米軍基地化にレールを敷いた。

 11月、形式的な市議会全員協議会や住民説明会を重ね政府への「売却容認」の答弁手続きを県知事と市長は続けた。それでも愛宕山 開発地の売却とは、即ち「厚木からの艦載機の移転」で岩国に来る米兵・家族の住宅を作ることだ。この事実だけは消すことが出来ない中、 再選をめざす選挙を控え一抹の不安を抱える現市長にとっては、これまでも封印してきた「艦載機移転容認」という言葉を愛宕山用地売却の 際に使えない。

  借金解消を喉から手が出るほど解決したいし、「容認」は言いたくないというジレンマから全く理屈では理解できない「愛宕山開発地の 売却と艦載機問題はリンクしない」という屁理屈を市長は掲げた。年末26日、知事と市長は一川防衛大臣に面会し政府から一枚の書面を 受け取った。県・市が12月22日に文書で照会した3項目の要望で、@空母艦載機の岩国基地移駐のみを進める考えはない。A空母艦載 機の移駐などは今後も県と市の理解を得ながら進める。B安心・安全対策、地域振興策などに係わる要望は最大限努力し、海上自衛隊の 岩国残留は要望も踏まえ検討する。という回答文がそこに記されていた。

 これに満足した県知事と市長は、その場で愛宕山開発地を国へ売却することを正式に伝え今後の売却手続きを進めることが確認された。 恐らく年明け、三者は早々に正式な手続きを行い、愛宕山は米軍基地となるだろう。

 愛宕山開発地へ米軍住宅を作るのは、空母艦載機が岩国基地へ移駐して来るからだということは子供でも判ることだ。これを岩国 市長や山口県知事は別の事だと言って貫き、形式的にその場を繕おうとする。これが政治と言うのであろうか、米軍再編を「見直す」とま で公約していた民主党政府の今の姿でもある。(続く)

(岩国市議・リムピース共同代表 田村 順玄)


2012-1-2|HOME|