欠陥機「MV22オスプレイ」の岩国基地配備をめぐって

岩国から、全国へ拡散するオスプレイの配備を絶対に阻止する


岩国市役所玄関前で森本防衛相に「オスプレイ配備拒否」の声を浴びせる

 本年3月、防衛省は欠陥機「MV22オスプレイ」を岩国基地経由で沖縄に配備する提案をしてきた。同時にグアムへ移転する筈だった沖縄駐留・海兵隊部隊の岩国移転も取り沙汰していたが、 折しも愛宕山開発跡地の米軍住宅用地購入を果たすため、事態を鎮静化させようとこれらの提案を一旦引っ込めていた。
 沖縄からはこうした政府の動きを、これまで米軍が求めてきた計画が地元の反対で取り下げられるのであれば、「10年以上も前から普天間代替施設を企んできた辺野古新基地計画こそ直ちに 撤回すべきであり、普天間基地の即時返還も実現すべきではないか」として、沖縄差別の現実を憤っていた。

 案の定、政府は6月末に神風防衛政務官を岩国へ送り込みMV22オスプレイを岩国基地へ海路搬入し、組み立て整備後に沖縄へ送り込むという方針を岩国市に伝えてきた。やはり「米軍が提案 した軍事の方針が覆ること」は無かったのだ。予定通りオスプレイの岩国持ち込み方針が通告されてきた。

 防衛省の提案では、米国本土にいる機体を貨物船に乗せて海路岩国基地の水深13メートル岸壁に接岸させ、貨物船から陸揚げした後に点検・整備して岩国基地で試験飛行を行い、その後沖縄 へ送り込むという。その滞在期間は10日から2週間という短期間だと説明し、当初は簡単に地元首長の同意が取れると安易な読みをしていたようだが、しかしここで心配していた事態が発生し た。

 政務官の岩国入り翌日から始まった岩国市議会一般質問、筆者も13日には欠陥機オスプレイの危険性を訴えてオートローテーション機能の欠如や耐空証明も取得出来ていない機体を岩国で飛 ばせることは許されないと配備反対を主張して質問を行った。

 他にも多くの議員がオスプレイ配備の危険性を指摘していた最中、米国フロリダの空軍部隊に配備しているCV22オスプレイの墜落事故が報じられた。4月、モロッコで墜落した事故の原因 究明さえも未だ判らない中、また墜落事故が起こった衝撃は大きく「オスプレイの岩国陸揚げ・試験飛行」の拒否はすべての市民の共通意識として固まってきた。

岩国市議会は私を含め一部の会派が「配備計画は拒否すべきだ」と言う意見書案を準備していたが、フロリダでの墜落事故が有った後には事態が一変。保守系会派の議員からももはやオスプレイ 配備を正当化出来る状況は無くなり、全会一致での市議会可決を目指す意見が急進展した。結局6月議会最終日の22日、意見書は国防という観点から受け入れ容認を唱える3名の議員が退席する 中、残り28名の議員の全員賛成で可決された。また山口県議会も同様、すべての会派による意見がまとまり7月6日の最終本会議で可決される見通しである。

 こうして地元の声が久々に異論なくオスプレイの拒否を唱えている最中、防衛省は今回の沖縄配備の裏付けである環境レビューを持ち込みこれからの訓練方針を明らかにした。 数千ページにわ たる環境レビューはその内容を見てビックリ、米軍も日本政府もこれまで明言を避けてきた「低空飛行訓練」がオスプレイによって全国で展開されることが判ったのだ。オスプレイは2〜6機ず つ、岩国基地や静岡県のキャンプ富士に移動して国内に何本も存在する低空飛行ルートを使った訓練を実施する。

 環境レビューの記述はオスプレイが四国を横断するオレンジルート、九州のイエロールートなど、全国6本の低空飛行ルートで夕刻から夜間に掛けて高度150メートルという超低空で訓練する と説明している。これでは岩国基地への一時駐機が10日から2週間などと言う悠長なことでは無く、相当長期に渡ってまた度々、オスプレイが日本全国で飛行訓練を実施する事が明確になった。 その上、これでは岩国が日本全国へ欠陥オスプレイを発進させる出発基地となってしまうことになる。

 それはオスプレイを全県民が強く拒否している沖縄へも、岩国から送り込むという重大な役回りを果たすことになり、どのような事があっても岩国基地へオスプレイを海路搬入させることはく い止めなければならない。

 このような厳しい現実も押し切ろうと、民主党政府はアメリカ側への強いラブコールの体現として、6月30日から7月1日、森本防衛大臣を沖縄と岩国へ送り込んできた。岩国では岩国市役 所の玄関に集まった150人余の市民がプラカードやノボリを持ち森本大臣への「オスプレイ配備拒否」の声を浴びせかけた。応対した岩国市長はきっぱりと岩国への陸揚げに反対の意思を伝え、 その後に山口県へ出向いた大臣は同様に二井山口県知事から配備反対の強い意思を伝えられた。当面、地元では首長意思もハッキリと民意を受け止め政府へのオスプレイ配備反対の姿勢が今は示 されている。

しかしこうした地元意思に反し政府は、アメリカからオスプレイ配備を伝える「接受国通報」と呼ぶ文書を伝えてきたが、オスプレイを積んだ貨物船「グリーンリッジ」(54,449トン)」 は7月1日にサンディエゴの港を出港し岩国基地に向かっていることも判った。森本大臣が「安全が確認されるまで岩国でオスプレイの飛行は行わない」とする説明がいかに空文で、姑息な策で あるかを市民はしっかり見抜いている。

私たちはこれから貨物船が岩国に入ってくる7月下旬に向け、オスプレイとはどの様に危険で欠陥のある飛行機か、じっくり学習し配備反対の意思を固めたいという思いだ。その為、7月6日に は欠陥オスプレイの危険な本質を衝く緊急市民集会を開催する。そして広範な市民で超危険な欠陥機オスプレイのこの実態を、アメリカに即刻返上する行動を今後も強めていく決意である。

(田村 順玄・岩国市議、RIMPEACE共同代表)(2012.7.1 撮影) 


岩国市長にオスプレイの岩国陸揚げに反対の意思を伝えられた森本防衛相


2012-7-5|HOME|