沖縄へり事故原因究明未完のまま

「オスプレイ」9機、沖縄へ移動



8機同時に岩国基地を離陸するオスプレイ(2013.8.12 撮影)

   7月30日、世論を無視し岩国基地へ強行陸揚げしたMV22オスプレイ。「一週間程度の整備と試験飛行を行い普天間基地へ送り込む」と豪語した米軍の 目論見は今年も崩れた。8月5日沖縄県内でまた、ヘリコプターの墜落事故が起こったのだ。

 海兵隊は当初言った宣言を実行するかのように、8月3日に4機、5日に8機のオスプレイを普天間に送り込むと通告していた。そして3日、予告内の 2機だけ普天間に移動させた。

 米軍には昨年の第一陣12機が送り込まれた直前、フロリダで起こったオスプレイ墜落事故の原因究明で結局、11月上旬まで岩国基地に待機するという 苦い経験が有る。そして米軍の思惑は今年も崩れ、「一週間程度」という普天間移動の予定は事故の為に繰延べせざるを得ない事態となった。
機種は違うとは言えまたまた起きた沖縄でヘリコプターの墜落事故、こんな危険な航空機を沖縄県民の頭上に安易に送り込む事など、絶対に認めることは 出来ない。

 岩国基地に残る10機のオスプレイは、当然沖縄へ即送り込むことは出来なくなった。まずは「原因究明!」勿論こんな危険な航空機が岩国の空を飛ぶ ことは認められない。ましてや沖縄へ送り込むことなど絶対に許されない。
 しかし米軍は、墜落事故の原因究明のひとことも無い中、岩国基地では沖縄事故翌日の8月6日から残る機体が試験飛行を繰り返した。何が何でも、 早々に普天間へ送り込もうという魂胆で、8月11日までには殆どの機体が試験飛行を完了してしまった。

 8月12日、この日は筆者の68回目の誕生日。早朝の散歩に出た午前6時過ぎ、物凄い爆音が頭上に降り注いできた。あの大型ヘリ独特の低周波音に 似た、しかし通常とは全く違うボリュウムで異常な音量の爆音である。山に阻まれ情景を見ることは出来ないが、直ぐに「これはオスプレイだ!」と直感し た。
 自宅に帰って8時15分、通常番組とは違うタイミングでニュースが入った。「オスプレイ8機が岩国基地を一斉に離陸した」という臨時ニュース並み の一報だ。この日、甲子園の野球大会に地元の高校が出場する、その少し前の放送で多くの市民がニュースを見ることになった。

山口県知事の非常識な事故の認識

 岩国市長はこの日、高校野球の応援で甲子園へ行って不在。このあと離陸した1機を加え結局9機のオスプレイがこの日沖縄へ移動した。この事実をとら えマスコミは山口県知事に感想を求めた。例のとおり的確な答弁は出てこないが、それでも夕刻のテレビニュースに流れた山本県知事の言葉に耳を疑った。 正確に再現すれば、「事故があったことを踏まえれば、然るべき時期に移動してくれたと受けとめている。」・・何ということだ。

米軍のヘリ事故発生でその影響を懸念して延期していた沖縄への移動が、全く「原因究明」など触れられないまま早朝逃げるように一斉に沖縄に送り込まれ た事実を、「ともかく山口から早く出てくれさえすれば、地元の知事として安心だ。」知事はそう言っているのだ。この認識には呆れてものも言えない。

 岩国からこの危険な飛行機が居なくなりさえすれば、それで良いのか。岩国でも沖縄でも、この危険な航空機を飛ばせないためには、まず「原因究明」 を徹底的に求めることが知事の責務だ。いよいよ間もなく24機体制になるオスプレイが、岩国基地を拠点に全国で危険な飛行を繰り返すだろう。
絶対に安全に飛ぶ保証のないオスプレイが、又岩国へ飛んで来たとき、知事は一体どのような感想を述べるのであろうか。

 こんな無責任な知事の認識を徹底的に糾弾しなければならない。そしてこんな危険なオスプレイの配備は、これからも反対の声を高めてゆかなければ ならない。

(田村順玄 岩国市議・RIMPEACE共同代表)


2013-8-21|HOME|