岩国基地周辺、工事車両で大渋滞


基地手前の新連帆橋の上を通過する大型車両のシルエット(13.8.9 撮影)

 厚木から移転すると言う艦載機部隊の関連施設を基地内に整備するため、岩国基地は今空前の工事ラッシュだ。このため政府は2013年度予算に650億円余を計上、年度の後半にに入り 発注している工事の現場作業が一斉にスタートした。

防衛省の発表している資料によれば、巨大な格納庫や整備施設、下士官宿舎から自転車置場まであらゆる施設が網羅され新設工事が続いている。
こうした施設建設に蟻が群がるように、全国から業者が岩国基地に集中し一斉に工事が始まった。一口に今年の発注予算が650億円と言っても、その額は岩国市の年間予算額を100億円も 上回る膨大なもの。それだけの工事の関係車両が毎日ひとつの門を出入りするのだから、大渋滞が起こるのは当然だ。
岩国駅の東口前から新連帆橋と言う基地手前の橋を経由して業者門から基地に入るのだが、その道路は完全に1車線分が占領され一般車両は中央線寄りを遠慮がちに通行するハメに。
入門を待つのは殆どが県外ナンバーの大型車両だ。

沿線に住む人は出入りもままならず、「何とかして」という声を聞いた筆者は3月議会でこの問題を取り上げた。しかしこの時点では当局から通り相場の答弁しかなく、具体的な対策までは出て こなかった。
最近になって渋滞する車列が広島方面への幹線、国道2号にまで達し、岩国錦帯橋空港へのアクセス車両にも影響が出始めたという声が上がってきた。こうした現状を新聞も各紙が取り上げ、 9月議会では何名もの議員が一般質問で改善を求めた。

防衛省がやっと重い腰、基地内に400台分の待機場新設

 こうした市民の声に工事を発注している中国四国防衛局はやっと重い腰を揚げ、このほど当面の対応策がまとまった様だ。一般質問の答弁で明らかになった防衛の対応策では、車両1台毎に 数分掛かるセキュリテーチエックが入門を待つ車の滞留する原因。
そこで今回示した案によれば、9月中旬には工事車両をそのまま基地内に誘導し新たに約400台分の車両検査所を新設する。その検査所でセキュリテーチェックを行い、その後発注している 工事現場へ向かわせるかと言う仕組みに変える。

11月頃からは住宅建設の発注がさらに増えるため、車両の数が更に増えると予想される。防衛局はこの対策として基地内にさらにフェンスを設けて、住宅施設の建設エリアをと特別区域として この区域の工事車両へはチェックなしでの入門を認める措置をとることも検討していると言う。

 防衛省は2014年と予定していた厚木からの艦載機移転が、受け入れ施設の遅れで2017年に先送りしたということで、厚木基地周辺から強い突き上げに会い必死。しかしそれにしても岩国 市長は一体いつ、艦載機移転を「了解する」と国へ答えただろうか。可笑しげな話である。
結局こうして既成事実を積み重ねるだけで、沖合移設後の岩国基地が一大軍事拠点に変貌していく姿がここにある。

(田村 順玄・RIMPEACE共同代表・岩国市議)


 中国四国防衛局が岩国市に示した、「渋滞対策計画図」


2013-9-22|HOME|