岩国基地 米軍再編見直しで

文字通り極東一の 大軍事基地に!

  10月3日、日米の外務・防衛のトップが東京で「2+2協議」を行い、2006年5月に決定した「再編実施のための日米ロードマップ」を7年振りに 見直すことを確認した。
岩国市民は2006年に示されたこの「再編案」で、厚木からの原子力空母の艦載機59機の移駐や、岩国基地の海上自衛隊部隊の厚木移転、普天間から 空中給油機移転などを押しつけられることになった。
 しかし市民はこうした国の方針に反発、住民投票で「艦載機移駐反対」という大きな市民世論を確認し、その後出現した愛宕山への米軍住宅建設でも 「愛宕山見守りの集い」など地道な取り組みを継続させ、国の計画を押し留めてきた。

 政府はこのような流れも無視し、計画撤回を求める我々へはいつもオウム返しの答弁で「ロードマップは沖縄の基地負担を軽減させるため、全国の基地 への再編施策を実施するためのパッケージだ。」という主張だけで見直しなど認めようとはしなかった。
 しかし岩国基地への艦載機移転の完了期日は2014年と言ってきたはずが、受け入れ元となる岩国基地の施設整備が進まず、愛宕山への家族住宅建設 も未着工という状態でタイムリミットが近づいてきた。他にも訓練空域の調整やFCLP訓練の実施場所も選定されておらず、結果的に艦載機移転の時期が 2017年に先延ばしという通告(今年1月)に変わった。


基地工事遠望ー1(2013.10.16 撮影)

このような背景の中で開かれた「2+2協議」の結果、ビックリと言うか当然と言うか、日米政府の焦りと戸惑いが見て取れる。この7年間、防衛省が進 めてきた再編施策の「足踏み」はどこに手を付けても思うように実行出来ない現実が今回の「パッケージ大幅見直し」に結びついたとしか思えない。

 それにつけても「パッケージ」を見直しまでした新たな再編案は、ほとんどが岩国基地を活用して再編策を進めようとする「岩国基地強化案」だった。 (10月3日確認の「再編見直し案」は別掲)
 その中で目立つのは、岩国市が強く求めてきた、海上自衛隊の厚木移転案を「岩国基地に残留させる」というニンジンをぶら下げたアメとムチの策略で、 再び市民をたぶらかす作戦である。
一方では、辺野古への普天間代替ヘリ基地建設の見通しが見えない中、2014年から空中給油機を岩国へ移転させるという案や、2017年には海外で 初めてとなるF35ステルス戦闘機を岩国基地に配備すること事などその成り行きに際限がない。
 加えて、昨年から配備が始まり、この夏に24機が勢ぞろいしたMV22オスプレイも実質的に岩国基地通常配備の状態となっている。


岩国基地滑走路に並ぶオスプレイ(2013.10.17 撮影)

さらにこうした米軍の基地運用を可能にするため、岩国基地は大工事ラッシュが続いている。基地内の工事を行う土建業者は蜜を求める蟻の様に全国 から集まっている。毎朝、建設資材を積んだ業者の大型車が、たった1ヵ所の業者門へ殺到する。当然基地周辺の道路は大渋滞で、(リムピース既報) その状態は9月議会でも大きく取り上げられた。
 米軍と防衛省はやっと重い腰を上げ、基地内に特別エリアを作り400台の車両待機場を作るなど、何とかこの問題は9月以降解消の方向に向かった。

 岩国基地内で再編を実現させる為と銘うった「思いやり予算」の事業は本年3月末現在で1,100億という膨大なもの。さらにこれから、2013年度 新規に675億円・およそ100件の工事が発注予定だという。


基地工事遠望ー2(2013.10.16 撮影)

 こうして、文字通り岩国基地は極東一の大軍事施設へと変貌しつつある。
今回示された「再編案」はまだ正式に岩国市民への説明すらされてはいないが、厚木基地から移駐するという艦載機の騒音問題ひとつ取ってもつじつまが 合わない。
これまで何度も資料により説明されてきた「航空機騒音予測コンター」もたとえばその内容が海上自衛隊機の岩国残留でその飛行回数の根拠は全く崩れて しまう。ましてや、最近頻繁に行われる市街地上空飛行やF35ステルス戦闘機・オスプレイなどの騒音要素は全く含まれていない。
それでも岩国市長は、目下新たな「騒音予測」を国に求めることは無いとコメントしているがとんでもないことだ。

 私たちは海上自衛隊残留で浮かれ、その裏で大きな大きなツケを押しつけられている現実を見抜く必要がある。(おはよう愛宕山 452号から)


(田村 順玄・岩国市議・RIMPEACE共同代表)


2013-10-26|HOME|