愛宕山(山の裁判)と、沖合移設(海の裁判)

岩国基地の流れに絡み、相次ぎ判決へ


2008年2月7日、海の裁判提訴

   21世紀の理想の街を作ると幻想を振りまいた「愛宕山地域開発事業」、埋立土砂だけ採取し終えた途端に事業を放り出し跡地を米軍住宅用地に転用した。
一方、騒音や墜落の危険を回避させ、爆音の軽減を期待し進めた「岩国基地沖合移設事業」、結果は面積が1.4倍に広がり大岸壁も出来て巨大な基地の受け皿が出来てしまった。

岩国市民はこの二つの問題に真っ正面から立ち向かい、08年2月にまず「岩国基地埋立処分取消訴訟」を筆者ら18人が原告で山口地裁に提訴した。続いて09年7月、愛宕山を守る会 の岡村寛さんら19人の原告で「愛宕山新住宅市街地開発事業の認可取消し処分の取消しを求める訴訟」を広島地裁に提訴し以来4年余り審理が続いた。

 その「海の裁判」は昨年6月、請求却下と言う敗訴の結果に。大正時代に作られたこの埋立の法律は、国は悪いことをしないという前提で作られているので当該埋め立てが不当であっても、現状 回復の義務は無い。だから結論は出さない…という理屈で門前払いの扱いだった。

国民の意向に反した埋立てであるにも係わらず、その実態を審理もしないという不当判決、私たちはこれを不服として直ちに広島高裁に控訴してさらに1年間審理が続いた。しかし広島高裁でも 実質的な審理は差し置かれ、7月22日に結審し10月23日の判決が言い渡されることになっていた。

 しかし判決の一週間前になって突然、裁判所は一方的に判決日を3週間延期すると通知してきた。一体どういう理由で延期したのか、この延期が判決にどう結びつつのか興味深い成り行きで ある。

 「山の裁判」は国土交通省が被告で、私たちは新住事業の無責任な廃止承認を追求してきた。裁判の中で国は愛宕山の新住宅市街地開発事業の廃止について、この法律には「廃止」するという 条文がなく事業者である山口県住宅供給公社の廃止申請を認めることは出来ないハズなのに、事業者に簡単に廃止を承認した。
裁判の過程で我々はこうした法律無視の行為を強く主張し、国は渋々その事実を認めた。しかし国は、「廃止」ではなく「撤回」という行為と解釈し承認したと開き直った。

 こうして審理は4年間続き、「山の裁判」は7月17日にやっと結審した。その後4ヵ月も時間を掛けて11月27日、注目の一審判決が下される。

 岩国基地は今や沖合移設事業で広く大きくなり、厚木艦載機部隊の基地機能を移転させるための工事が急ピッチで進行し、愛宕山でも厚木からの米兵と家族を受け入れるための住宅等の建設準備 が着々進められている。
これから出される二つの裁判の判決が、こうした岩国基地の動きにどう係わっていくか、大変重要な注目される判決である。(おはよう愛宕山 453号から)

(田村 順玄・岩国市議・RIMPEACE共同代表)


2009年7月31日、山の裁判提訴


2013-11-4|HOME|