沖合移設事業取消裁判(海の裁判) 広島高裁控訴審判決

埋立て「国にも現状への回復義務は有る!」と新判断


11月13日、広島高裁に入る原告団・弁護団

   岩国基地沖合移設事業の公有水面埋立て行為は、当初からみんなが望んでいた「墜落の危険回避や騒音の軽減」といった目的を偽った誤った行為だと、筆者を原告団長に住民8人で提訴していた 裁判の控訴審判決が13日、広島高裁で言い渡された。
 判決では訴えそのものを再び「却下」という敗訴の結果ではあったが、筏津順子裁判長は昨年6月に下された山口地裁の判決を取り消すという注目の新判断を下した。

 そもそも岩国基地沖合移設は今ある海兵隊基地の迷惑を解消するために、騒音の軽減や墜落等の危険を少なくすることが目的で実施された事業だった。それがこれを逸脱して国は新基地を使って 厚木基地の空母艦載機部隊の移転を企む、そしてこれを受け入れることを目的にした埋立て事業であった。

 筆者や原告は国がこうした行為を実現するために進めた沖合移設事業の埋立て行為は違法だと、埋立承認の無効を求めた裁判を5年前に提訴した。しかし昨年6月の一審の山口地裁判決は、 「国は悪いことはしないという前提で作られた公有水面埋立法のもとでは、もしその行為が違法であっても現状への回復義務は無い。だからこれを違法だと認定してもどうしょうも無い」と正面か ら審理することを避けた門前払いの判断だった。

 しかし今回の高裁判決はそれを全く否定し、「埋立て工事の現状回復が社会通年上不可能と判断されるとしても、そのことにより直ちに訴えの利益が否定されるものではない。承認が取り消され た場合、国は現状回復義務を負うべきだから訴えの利益は存在する」などとして、「訴えの利益が存在しない」とした山口地裁の判決を取り消した。

 今回の新判断は目下国策として中国電力が進めている上関原発の埋立てや、沖縄・名護の新基地建設の埋立てに対しても、国民の意思に反して進められる埋立て工事に対して新たな展望が開ける 判断を示してくれた。

 原告団長である筆者は今回の広島高裁判決を受け、「一審判決に比べれば少なくとも国の不法な埋立て行為に疑問を呈すことが出来た判決だ。いずれにしても私たちは、この判決を私たちの運動 に有利に読み取り基地の拡大強化にさらに反対の取り組みを強めていく決意だ。」とさらなる決意に燃えている。 (おはよう愛宕山 454号から)

(田村 順玄・岩国市議・RIMPEACE共同代表)(2013.11.13 戸村良人 撮影)

広島高裁控訴審判決文


岩国爆音訴訟、そして「山の裁判」で主張を強めて行くと報告集会で発言する田村原告団長(筆者)


2013-11-15|HOME|