岩国基地、過去の構想と今 (1)

「辺野古新基地」建設の企みと岩国基地強化

   破格の沖縄振興予算を懐に、「いい正月になる!」とはしゃいだ沖縄県知事、案の定数日後には辺野古の埋立を承認する暴挙に発展した。なりふり構わず辺野古新基地の建設に突っ走る 政府の焦りの様が、ここに来てまたよく見える。

 こうなることは必定と、国民の誰しも予見できた安倍政権への選択、しかしそれも同じ国民が選挙というルールで作ってしまった大きな過ちが今の姿である。その過ちで作られた政権は、 これから「憲法改正」でまず9条を消し、特定秘密保護法から「共謀罪」の創設へとエスカレートさせてしまう危険な道のりが控えている。

 万全の国会情勢を後ろに従わせ、沖縄の負担軽減を「錦の御旗」とうたい全国各地へ基地を分散させる。こうして普天間基地の返還を促進するという具体的な施策は、最も常識的な 「沖縄問題解決策」であろうが、大多数の沖縄県民の意向はそうでは無い。沖縄県民は新たな基地を、県外に求めている。

 ならばその方法は具体的にどうすれば良いのか、誰も示すことが出来ず17年の月日だけが経過した。そして今、彼らが現実的に進めている解決策が「岩国基地へ代替の基地機能を移転させる」 という方法である。これが昨今、岩国へ全て新たな基地機能を押しつけてゆくという政府の「再編施策」である。

 事実、昨秋7年ぶりにまとまった「再編見直し」その中身を見てビックリ。前述した沖縄の負担軽減のために、岩国基地への新たな基地負担がテンコ盛りで押しつけられていた。普天間基地の KC130空中給油機はその数も3機増やして15機、そして2014年には岩国へ。勿論当初から決められている厚木からの空母艦載機も、時間を4年繰延べして2017年に7岩国へ。 世界で始めてとなる米国外配備となるF35Bステルス戦闘機も2017年に岩国へ。とりあえず普天間へ配備したMV22オスプレイも結局は岩国を拠点に全国展開へ、そして間違いなく その後は岩国基地へ「分散配置」するというスケジュールがだれでも想像出来る。

 このような岩国基地の今の動きを見るとき、改めてこの基地が「岩国基地沖合移設事業」によって広大に拡大強化され、「受け皿」として整備された姿を再認識するばかりだ。  岩国市民はこの事業の実現に、「市民の悲願」という枕詞(まくらことば)まで付け、早期完成を求めてきた素朴さがある。それを逆手に取った今の岩国基地強化の動きを、私は絶対に認めること は出来ない。5年前に提訴したか「岩国基地沖合移設事業」埋立承認無効を求める裁判(海の裁判)は昨年11月、最高裁に上告し山口県知事に挑んでいる。

  年末に安倍政権が公表した2014年度政府予算で、岩国基地の来年度の施設整備予算は902億円が確保された。なんとそれは、岩国市政の年間予算の1.4倍にも匹敵する膨大な国費で、 しかもこれが単年度でこの投入される額である。一旦手中に納めた岩国基地の機能は、はりねずみの如くに強固に成長させ軍隊に取り込んゆく。

 こうして整備される岩国基地は、配備された航空機の機数も施設の充実度も、極東一の巨大基地として成長しつつある。

(田村 順玄・岩国市議・RIMPEACE共同代表)


南側から見下ろす岩国基地(2013.12.12 戸村良人 撮影)


2014-1-4|HOME|