空母艦載機の着艦訓練

今回も岩国を「予備基地」に指定!

 横須賀に常駐する原子力空母ジョージ・ワシントンに配備されている艦載機が、岩国基地に移転する計画が2年後に迫った。岩国基地ではその為の地上施設建設が進んでいるが、その空母がまもな く横須賀港を出港する。昨年11月25日に入港し約半年の整備・改修を終え、間もなく本来の作戦行動に復帰するのだ。
 空母に乗る艦載機は厚木基地に降り、渋川などの空域で激しい訓練を続けていたが、改めて空母に着艦するための技量を確認する着艦訓練を義務づけられている。
 この着艦訓練で、5月12日から15日まで岩国基地を予備基地に指定したのだ。

さすがに市長もこの訓練は中止を要請

 この訓練は大変激しい爆音を発生させ、さすがに岩国市長も明確に「反対」という意思を貫いている。しかし岩国基地は毎回この着艦訓練の予備基地に指定され、本来の訓練場所の硫黄島が天候 不順の時、その岩国で実施する可能性があるという。これが「予備基地指定」だ。
 予備基地に指定されているのは岩国の他に青森県の三沢と厚木だが、この3基地で11日から15日までの間の10時から22時まで実施する可能性があると言う。しかし硫黄島での訓練予定 期間は5日から15日まで、予備指定の3基地が11日から15日とは如何にも短期間でと配慮している様にも見えるが本当の意図はそうではない。
 実は着艦訓練を今後もこれらの基地で実施する可能性を残すため、あえてそれぞれの基地を予備基地として指定の担保を続けているのである。

国の本音は新滑走路での着艦訓練実施

 現に国は沖合移設事業開始前、防衛省は岩国市と密約を交わし「移設事業完成後は新滑走路での着艦訓練が実施出来る」という了解を押しつけている。未だに硫黄島以外の着艦訓練実施場所建設 計画が建てられない中で、岩国基地の新滑走路は最終的な「着艦訓練」実施場所で有りつづけるのだ。

 5千人以上の兵士や船員が乗る空母は漠大の戦費を使うため、出港日程をきちんと守るが、そのため15日までには着艦訓練は必ず終えなければならない。だから相当無理をしても出港前には 着艦訓練が強行される。
 これから59機の空母艦載機の所属が2017年に岩国に移ると、こうしたノルマが一層課せられ、岩国基地での着艦訓練実施の確率は高くなる。そしてますます本格的な艦載機移転の迷惑が、 増幅されてくる。何としても2017年からの艦載機岩国移転計画は、絶対に阻止してゆかなければならない。

田村 順玄(リムピース共同代表・岩国市議)


横須賀基地での定期修理がほぼ終了した原子力空母ジョージ・ワシントン(2015.4.26 撮影)


2015-5-3|HOME|