岩国基地を受け皿に、米軍再編計画総仕上げの動きが着々と・・

さらに進化した、イワクニ基地のいまを報告 - 1

 今からちょうど10年前、岩国市民は大きく一つになって自分たちの意思を国に突きつけ、はっきり岩国基地の機能強化に反対する姿勢を示した。厚木からの空母艦載機移駐反対という「住民投票」が、圧倒的に「反対」という住民投票の結果で示されたのだ。

 それでもその後、国は異常な介入・アメとムチの嫌がらせを岩国市政に浴びせかけ、時の市長を引きずり下ろし国が自由に操ることの出来る現市長の誕生を後押しした。あれから10年、岩国基地は日米政府が推進する米軍再編計画の受け皿として大車輪の基地建設工事が進行している。沖縄では県民が一致して基地反対の意思を盛り上げ、辺野古新基地建設の工事が難航しているし、世界一危険と言われる普天間基地の返還も遅々として進まない。こうした現実的な情勢を睨みながら、国はその補完的な次善の策として岩国基地の活用に的を絞り本格的な大整備工事が進行しているのである。


 事実、それを裏付ける具体的な資料が有る。「岩国飛行場に係わる空母艦載機の移駐等に関する予算額」という一覧表だ。岩国市の行政サイドが作成した資料と思われるが平成18年度補正予算から始まるその一覧表では、平成27年度までの契約ベースと歳出ベースで計上・執行された岩国基地での再編関連予算がまとめられている。その額は10年間でなんと4668億7500万円を契約し、3143億4000万円が歳出されることが記録されている。

 つい先日発表された平成27年度補正予算では、さらにこの上歳出ベースで391億円を追加して計上、この10年間の投入総額は実に5千億円を越えることとなった。如何に異常な状態で岩国基地強化が進行しているかを表現出来る、一こまである。

 加えてこの異常な状態は今後も継続し、作年末決定した来年度の防衛予算では岩国基地再編関連予算は歳出ベースで712億円、契約ベースで585億円が盛り込まれたと発表された。岩国基地へ厚木基地から移転してくる軍事施設は殆ど完成しているものの、来年度はその仕上げに相当するような司令部庁舎の整備や愛宕山への家族住宅や陸上競技場の建設、基地内敷地への下士官宿舎建設などが進められる。

 こうして米軍基地へ政府が直接執行して進める整備事業とは別に、宣撫工作として防衛省の交付金や補助事業として岩国市へ国家予算が投入される。その最たるものが「再編交付金」で、現在辺野古新基地建設に反対する名護市へは一銭も交付されておらず、名護市の地区組織などへ直接国が交付する異常な補助を強行しているような事業補助金だ。 岩国市へは防衛省の補助金メニューをあれこれ理由付け、あらゆる事業が防衛省補助金工事として実施されている。ちなみに、市長選挙を3週間後に控えた岩国市では現市長は市が発行する「市報」の元日号2ページを割いてその成果を大宣伝している。

 この記事を読めば岩国市はほとんど防衛省が支出する予算で街づくりが進められていることが判るが、市長は彼の行政手腕を発揮して特に努力し進めたとは思えないということを証明するような実態である。まさに日本国・防衛省岩国出張所の事業成果が、そこに羅列されているといっても過言では無い姿である。

 こうした中で私たちは今年1月17日に告示、24日に投票という日程で進められる岩国市長選挙に照準を定めた。今回、国の後押しで対立候補も見えなかった現市長の3期目の市長選挙に、私たちは5つの市民団体が政党や組織のしがらみを乗り越えて一致した候補を擁立し岩国市長選挙に立ち上がった。(続く)

田村 順玄 (リムピース共同代表・岩国市議) 


岩国市報元日号より


2016-1-1|HOME|