岩国基地のホーネット、市街地上空で監視飛行


胴体中央にターゲティング・ポッドを付けて岩国基地を離陸した海兵隊のホーネット

 「一」の付く日に月3回、米軍住宅の建設が進む愛宕山を見下ろして「愛宕山を守る会」に集う市民団体の有志が「見守りの集い」という座込み集会を続けている。
1日と21日は定例の集いだが、10月11日には180回目を記録した。これに加え毎月21日は各グループが交代し自主集会を継続している。
10月21日のこの日は筆者もメンバーに参加している「住民投票を活かす岩国市民の会」が担当し、集いを進めていた。

 この自主開催も7〜80回行われており、この日は通算250回目位の座込みとなっていた。会場は参加者のアピールが次々進む中、頭上では2機編隊のホーネットのうるささが耳に付 く。そう、いつも飛ぶ米軍機の飛行コースは南北や東西と横切るだけなのだが、この日のホーネットは明らかに市街地上空を長い時間旋回飛行を続けている。

 そもそも岩国基地の米軍機は市街地上空は飛ばないことが約束されており、この日の飛行は明らかにルール違反、異常な市街地旋回飛行だ。
この日は宇部市から30人余の市民団体の皆さんが特別参加していたが、「いつもこんなにうるさいのですか」とビックリ、「今日の飛行は特別ですね」と答えたほどだ。

 最近、市街地上空を横切る飛行実態が度々出現しその爆音被害も問題になっているが、この日の旋回飛行はその比ではなくうるさいものだった。しかしこうした市街地上空飛行は 今回が始めてのことでは無い。昨年1月13日から15日にかけ、また5月21日には終日、同様の飛行が確認され市民から苦情が殺到した。
5月21日の飛行では岩国市へ125件の苦情が寄せられたと、記録がある。筆者はこうした実情を受け、2015年6月議会では一般質問に取り上げ岩国市の対応を求めたほどだ。


着陸したFA18ホーネット。ターゲティング・ポッドが付いている

 筆者はこの時記者会見を行い、「この飛行の実態が市街地の市民をテロリストに見立てた特殊な訓練である」と問題を指摘した。訓練を行う米軍機は機体の胴体に「ターゲテイング・ ポッド」というカメラを装着し、市街地上空の旋回飛行を繰り返し市街地の写真を撮り送信する訓練を行っている。
事実この日のホーネットは胴体にターゲテイング・ポッドと呼ぶカメラを装着して飛行を続けていたことが確認されている。

 こうしてこの日の飛行が昨年5月の飛行と酷似している10月21日の飛び方を、私達の仲間で連日基地の監視記録を続けている戸村良人さんの当日の写真を詳しく閲覧してみて確認し た。「見守りの集い」開催中頭上を飛んでいたホーネットの着陸写真には、ハッキリターゲティング・ボッドが写っていた。
今回も又、間違いなく岩国市民をテロリストと想定した市街地監視飛行訓練であったのことが類推出来たのだ。

 岩国基地は「任務遂行上、不可欠な通常訓練」と素っ気ないが、岩国市も「個別の軍事作戦的な訓練の内容や目的を問題するのではなく、市民生活への影響がどうかだけ判断する」と無 責任な対応に終始している。  これから岩国基地では空母艦載機スーパーホーネットやF35Bステルス戦闘機など、新鋭機の配備も控え機数も倍増する。こうした、市民を巻き込む危険な訓練が増え基地機能が一層 強化されると懸念される。市民の声をさらに大きくしてゆかなければならない。

(田村順玄・RIMPEACE共同代表・岩国市議)(2016.10.21 戸村良人 撮影)


10月21日の「見守りの集い」(田村順玄 撮影)


2016-10-24|HOME|