オスプレイ初飛行強行前の国の策動

9月12日、森本防衛大臣、三度目の来庁 ・・・・   フロリダ事故もやはり「操縦ミス」、機体に欠陥なし!

 7月23日、岩国基地に陸揚げされたオスプレイは格納庫前に駐機して1ヵ月半を越えた。10日から2週間岩国基地に留まり、その後沖縄へという日米政府の日程は大きくずれ込みもうなに が何でも飛行を強行するという強引な手順が始まった。
 フロリダ事故の検証報告をたずさえた森本防衛大臣は9月12日、3度目の岩国市訪問で市長や市議会議長に形式的な検証報告を伝えた。もはや報告も説得出来る中身は無く、岩国市長は従来 からの答えを返すのみであった。「市民の安全・安心を払拭出来るような答えにはなっていない」「岩国基地でオスプレイのいかなる飛行も行われては困る」という趣旨の答えだった。
森本大臣はこれから、日米合同委員会でしっかりとした安全策の確保を米側に伝え約束させると言うばかりだった。
 この日も市役所玄関前には多くの市民が集まり、政府のオスプレイ押しつけに抗議の声を上げ続けた。


防衛省の神風政務官らが来岩、全員協議会で市議会議員の意見を聞いた

9月14日、岩国市議会へ神風政務官、市議会全員協議会に出席・・・・    市議会議員の質問に、ガス抜きの対応

 大臣のフロリダ事故報告から2日後、今度は岩国市議会を神風政務官が訪問し議員の質問に答えた。一行は政務官をトップに制服自衛官を交えたアメリカへの政府事故検証チームの面々、議員の 質問は2時間を確保したが一人当たりの時間に換算すれば4分弱。まさにガス抜きの儀式で、答弁途中でも時間が来れば質問終了というルールで筆者の最も答えさせたかった質問も答弁時間内に入 らなかった。
 筆者は森本大臣が国会で答弁した時速90qを越える落下スピードでオートローテーション機能が効果を生むのかという質問に、「実際シュミレーションを操作した。」という海上自衛隊の ヘリコプターパイロットがとうとうと長話の答弁を行い、90qのスピードで落下しても効果はあると言い切った。しかし実機でのテストは機体が損壊するので行わないと言う。
最近特に保守系議員が強調を始めた離島の領土問題でオスプレイは不可欠という理論に対しては、「オスプレイにそうした任務は無い」と明言したが「抑止力にはなるのだ」としっかり利用する 意向を示した。


岩国訪問4度目の森本大臣が話したのは一方的な「オスプレイの安全宣言」

9月19日、森本大臣が4度目の来庁で「オスプレイの安全宣言」・・・・    岩国市長に試験飛行実施を一方的に通告

 短期間に4度目となる森本防衛大臣の岩国市役所訪問、この日森本大臣は野田総理に日米合同委員会で合意したオスプレイの運用に関する安全宣言の内容を示し同意を得た。そしてその足で 岩国市役所を訪れ、福田市長に合意内容を伝えた。この席でも岩国市長は「オスプレイの市民感情を考えると政府の最終判断は極めて残念」と最後まで試験飛行実施の同意は行わなかった。
しかし翌日の市議会最終日、市長は「諸般の報告」として「試験飛行は国が一方的に実施を押しつけて来るもの、全ての責任は国に取ってもらう」と前置きをして市民には全く理解できない 事実上容認したような見解を述べた。
 結局、都合4回の大臣訪問と12月13日に迫った「岩国錦帯橋空港」の開港というはざまで、曖昧なオスプレイ岩国早期追い出しのプロセスを求めていたのだろう。
 国はこうした一連の「儀式」を積み上げ、2日後の試験飛行開始へのスケジュールをスタートさせた。
 

(田村順玄・岩国市議・RIMPEACE共同代表) 


19日の森本防衛大臣の来庁に抗議する市民たち


2012-9-23|HOME|