杞憂ではない「陸上だったら」
星条旗新聞を読んで感じたこと
岩国のパイロットは無傷だった (99.1.22 星条旗新聞) (抄訳)
グレン・スコット佐世保支局長
佐世保発−−パイロットは岩国基地の診療所から歩いて出てきた。彼はその日、僚機と衝突して破損したジェット戦闘機から脱出したばかりだった。
日本の当局者によればパイロットは、午前9時58分にレーダースクリーンから彼の機影が消える12分前にエンジントラブルを告げてきた。戦闘機は高知市の東およそ15マイルの土佐湾に墜落した。日本の救助隊はその23分後に、救命いかだに乗っていたテキサス州ハートフォード出身のケビン・ペツォルド大尉(27歳)を救出した。
ティモシー・カリー少佐(35歳)は岩国基地に戻ってきて緊急着陸した。墜落の前に何が起きたのかは不明だ、現在調査中だ、とティム・キーフ岩国基地広報主任は語った。2機が本当に衝突したかどうかも調べられるだろう。「様々な可能性がある。だからハッキリしたことが判るまで、何も言わないのがベストだ」
高知県の救難チームは、パイロットから管制塔への緊急連絡を傍受した。ヘリコプターが墜落後直ちに飛び立った。管制官は機影が消えたポイントにヘリを誘導した。10時20分に救難クルーはF18の尾翼を見つけた。300ヤード離れたところで、パイロットがいかだの上で揺られていた。発煙筒の煙がうねっていた。パイロットは手を振っていた。救難クルーが彼をヘリコプターにつり上げ、大丈夫かと聞くと、彼は親指を突き出して大丈夫というサインを出した。
高知空港に戻ったあと、岩国基地の救難チームがパイロットを乗せて岩国に向かい、午前11時15分に彼は岩国基地に戻った。
事故について不明な点がたくさん残っているが、一つだけ確かなことがある。ペツォルド大尉は、高知空港への緊急着陸が不可能になった時点で緊急脱出装置を作動させて、墜落する機体から飛び出して悲劇を回避したのだ。
訓練中に2機のジェット戦闘機が接近していたことは、驚くべきことではない。戦闘機は、何機もの敵機と交戦するために、2機またはそれ以上の編隊を組んで訓練を行っている。基地の回りで働いていたり生活している人達はだれでも、F18が通常2機編隊で飛んでいくのを見ることが出来る。
2人のパイロットと機体は第212海兵戦闘攻撃飛行隊に属している。
編集部より
戦闘機の編隊飛行は、確かにこの記者の言うように日常茶飯事だ。岩国でも、三沢でも
、厚木でも...。
だから驚くべきことではない、というのはどうだろうか。卑近な例だが「いつも酒を飲
んで運転しているんだから、これくらい飲んだだけでは大したことない、ちゃんと運転で
きるサ」と言っているようなものだ。
どんなに慣れていようが、また戦術的に必要な訓練だと言われようが、危険なものは危
険だ。それを米軍は認識しているのかどうか、疑わしい。先に挙げた3つの基地では、戦
闘機が編隊で離陸することがよくある。市街地に隣接したところで、そんな危険な飛び方
を繰り返しているのだ。離陸時まで密着する必要が戦術的にあるのか、非常に疑問だ。
今回の岩国所属の戦闘機の事故に則して言えば、海上で起きたことが「不幸中の幸い」
だったとも言えるだろう。彼らが編隊を組んで訓練をしていたのは四国沖のいわゆるリマ
空域(L空域)と呼ばれるところだ。岩国の戦闘機は、この空域に向かうケースが一番多
い。それに次いで多いのが、田村市議が指摘しているように、567エリアと呼ばれる中
国地方西部の上空の空域だ。ここでもドッグファイトと呼ばれる戦闘訓練(今回のように
接触事故を起こしやすい訓練)、対地爆撃訓練などが行われている。もしこの567エリ
アで空中衝突事故が起きたら、近くの基地や空港に緊急着陸する場合に、市街地上空をア
プローチすることになる。その途中でパイロットが脱出してしまったら、パイロットは悲
劇から逃れられたとしても、機体が頭上から降ってくる住民にとっては地獄でしかない。
今回の事故が陸地の上空で再現されることは十分あり得る。それが単なる脅かしではな
いことは、岩国基地からの飛行状況が雄弁に語っている。
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