低空飛行と爆撃訓練、またもセットで
海兵隊ハリアー機事故報告書より


またしても、低空飛行訓練と爆撃訓練の一体性が明らかになった。
99年6月4日に嘉手納基地で起きた海兵隊のハリアーの事故報告書によれば、事故機は当日、低空飛行ルートのパープル・ルートを飛行したあと、W176という名前のレンジで爆撃訓練をする予定だった。 MK76訓練弾を4発積んで13時に嘉手納基地を出発し、13時から14時の間にパープル・ルートをたどり(時間及びコースから考えて、パープル・ルートを往復する予定だったのだろう)、W176で爆撃訓練を行い、14時半に嘉手納に帰着するというフライト・スケジュールだった。

パープル・ルートとW176の組み合わせは、今回初めて表面化したというものではない。94年10月14日に厚木から飛んだ艦載機A6は、オレンジ・ルートを飛行中に早明浦ダム湖に突っ込んだ。この事故がなければ、A6はオレンジ・ルート、イエロー・ルートを飛行したあと岩国基地に着陸、直ぐに飛び立ってこんどはパープル・ルートを飛んでW176に向かい、爆撃訓練の後嘉手納に降りる、という訓練計画をこなすはずだった。

昨年9月に、三沢のF16の事故報告書が2つと岩国のFA18の事故報告書が発表された。そのいずれにも、事故機が低空飛行と爆撃訓練をセットして行う予定だったことが記されていた。そして、今回のハリアーの事故報告書でもパープル・ルートの飛行と爆撃訓練がセットになっていたことが明らかになった。事故報告書が出るたびに、低空飛行訓練と爆撃訓練がワンセットになっていることが示される。これはもう偶然の一致ではない。ルート直下の住民を爆音と事故の危険性にさらしている米軍機の低空飛行訓練は、単なる移動訓練ではなく攻撃訓練だということは、もはや議論の余地のないことだと言える。
(田村順玄、岩国市議)


'2000-5-12|HOME|