CH53D岩国配備のときに、国は何と説明していたか

岩国基地に8機の米海兵隊CH53Dの配備が始まったのは2002年2月だった。その直前の1月25日に、岩国市議会全員協議会が開かれ、井原市長が受け入れの理由を述べた。また防衛施設庁次長などが出席してCH53D配備の「理由」を国を代表して説明した。
田村岩国市議をはじめとして、何人かの議員が反対の意見を表明したが、市長は受け入れの考えを変えずに、2週間後にはハワイからの6ヵ月ごとのローテーション配備が開始された。
全員協議会の記録をひもとくと、以下のような発言がなされている。

「今回の輸送ヘリコプター配備につきましては、わが国を含む、アジア太平洋地域における不測事態に対処するために必要な物資、人員の緊急輸送等の人道支援、災害救助活動に資することを目的としたものであり、これまで想定されたことのなかった新たな情勢に対応するために、緊急に必要になったものであることを理解しなければならないと考えております」(伊原岩国市長の冒頭の説明)

「アジア太平洋地域におきまして不測事態が発生した場合により迅速かつ的確に対応し得る体制を整えるために、この地域におきます米軍の体勢についても検討が加えられたわけでありますが、その結果、現在ハワイの海兵隊基地に所在しますヘリコプターを早急に日本に前方展開することが必要と、米側において考えるところになったわけであります。具体的には、CH53D輸送ヘリコプター8機を、日本列島の中央部に位置します、海兵隊の岩国基地に速やかに配備したいというものであります」(宇田川防衛施設庁次長)
「岩国基地は日本列島の中央部に位置しますので、ここに輸送ヘリを配置することによりまして有効な、テロを含む不測事態対応が可能となるということでございます」(鎌田施設企画課長)

要するに人道支援・災害救助が主要な配備目的であり、日本列島の中央部にあるから岩国に配備する、ということだ。そういう理屈なら、何かコトが起きたときに備えて、岩国に張りつくのがスジなのだろうが、実際はそうではなかった。普天間基地のCH53Dが墜落事故を起こし、岩国の部隊の過去の行動も表に出てきた。
ハワイからローテーション配備で、04年4月からCH53D重ヘリ飛行隊HMH463が岩国に配備された。HMH463のホームページの中で、部隊の司令官は次のように述べている。
HMH463は、4月はじめに岩国にUDPで来て、「その後Cobra Goldに参加し、傘下の機体(CH53D)は、その前にフィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポールを経由してタイに着いた。演習終了後、エセックスとジュノーに載ってシンガポールまで行き、その後フィリピン経由で新しいホームベースの普天間に着いた」
二年前に、人道支援・災害救助が主要な配備目的であり、日本列島の中央部にあるから岩国に配備する、と重輸送ヘリ部隊配備の理由を説明した舌の根が乾かぬうちに、米軍の演習に加わり、イラクに向かう部隊と合流するために普天間を新たなホームベースにしたのだ。
では、なぜ普天間に移動しなければならなかったのか。普天間基地にはローテーション配備のCH53E重ヘリ飛行隊が展開している。04年初めにはHMH465という部隊がいた。この部隊が3月はじめころにイラクに向かったのだ。2月半ば過ぎに海兵隊の一個大隊3000人が、嘉手納からイラクに派遣されたのと時を同じくした動きだ。「米本土ミラマー基地から沖縄に最近UDPでやってきたHMH465は、今月中にイラクに派遣されるため、準備中だ」(オキナワ・マリン 2004.2.20)
HMH465がイラクに展開した後、その穴を埋めるためにやってきた部隊が、岩国から「ホームベースを移した」HMH463と、ハワイからやってきたHMH363だった。ともにCH53Dの部隊で、8月13日の墜落事故前には、この2つの飛行隊のCH53Dが12機、普天間に同居していた。この12機の内訳などの考察は別稿で行うが、このうちの一機が墜落、6機が強襲揚陸艦エセックスに搭載されてイラクに向かった。

イラクに動員された部隊の穴埋めに岩国から普天間に移動し、さらにその中の一部がイラクに展開した、という事実は、岩国市長が信じこんでいた「人道支援、災害救助」とはまったく違うものだ。防衛施設庁が言った「岩国配備の理由」の主要な点が崩れたのは、米軍がウソを言っていたからか、それとも防衛施設庁がその場しのぎの出任せを言ったのか。防衛施設庁の言うことは当てにならないことが多いが、今回のように二年で馬脚をあらわすのも珍しいことだ。施設庁の釈明を聞きたいものだ。

(田村順玄・岩国市議)


普天間基地のCH53用の格納庫。HMH363,HMH463のマークも見える.
最初から岩国の部隊は普天間に移動する使命を帯びていた、と推定される。



'2005-1-1|HOME|