CH53D岩国移駐時の施設庁の答弁の欺瞞性
2002年1月9日付けで防衛施設庁長官から岩国市長にあてた「回答書」がある。岩国基地へのCH53D部隊配備について、さまざまな疑問点を地元岩国市が問いただしたのに対する回答だ。
移駐予定のヘリ運用について、米軍の安全対策として挙げられていた4点の中に以下の記述があった。
「同系列のヘリを運用する部隊が整備に資する情報を共有し得るデータベースの構築」
沖国大へ墜落したCH53D事故の「報告書」を読むと、この記述がいかに無意味なことだったかがよくわかる。「報告書」の作成者である海兵隊中佐は、事故の原因として当該部隊の行った点検修理の手順に、オーソライズされていないやり方があったことを上げている。"Modified Quick Rig"と名づけられた、HMH363部隊(赤ライオン部隊)の修理部門が何年も行ってきた点検修理手順のことだ。
「同系列のヘリを運用する部隊が整備に資する情報を共有し得るデータベースの構築」がどの程度進んでいたかは定かではないが、情報共有がどんなに進んでも、部隊ごとに勝手なやり方が行われていたのでは、データベースの効用も何もあったものではない。回答書の中の表現通りで言えば、「施設庁が承知している」安全対策とは実態とかけ離れたものだった。
この「回答書」が出された半月後に行われた岩国市議会全員協議会には、防衛施設庁次長をはじめとする幹部が出席して、市議の疑問に答えていた。この中で、当時の施設庁企画課長が筆者(田村)の質問に対して、次のように答えた。
「所用の教育訓練を十分得た方々がパイロット、整備員等が来るということでございます。(中略)運用整備経験が蓄積されているということもありますし、(中略)安全性は、米側としてはしっかりやっているということでございます」(同協議会議事録より)
「事故報告書」の証言集によれば、オーソライズされていない"Modified Quick Rig"は、HMH363部隊(赤ライオン部隊)の修理部門で5年前から行われていた(報告書 Page 53 of 210)。02年1月に全員協議会が行われた以前から、この検査修理手順が現場の独断で行われていたのだ。
国側を代表して筆者の質問に答弁した企画課長は、こんな事実は知らなかったのだと信じたい。しかし「米側としてはしっかりやっている」という、結果として誤った回答をしたことに対して、「事故報告書」が明らかになった現時点で、防衛施設庁としていかなる見解を持っているのか、きちんと答えてほしい。岩国に駐留する部隊の安全対策に対する基本的な問題が、「事故報告書」によって明らかになったからだ。
現在岩国に展開している部隊は、この"Modified Quick Rig"を現場の判断で採用してきた部隊そのものだ。黙っていれば、再び事故の原因となる整備を繰り返す可能性が、他の部隊よりも大きいのだ。施設庁の過去の答弁との整合性も問題だが、何よりも今後の安全性にかかわる重大な問題だ。事故の教訓をどう生かすのか、過去の回答が間違っていたことをふまえて、米軍に安全性について再度問い合わせ、施設庁として責任を持った回答をするよう求める。
(田村順玄・岩国市議)
'2005-1-2|HOME|