空母出港前後は、厚木から飛行するのだろうか?
艦載機の岩国移転に関して岩国市議会がまとめた質問集に対して、広島防衛施設局長名で回答が来た。きわめて問題の多い回答だが、ここでは空母の動きと艦載機の飛行の関係について疑問を呈したい。
艦載機の飛行頻度などについて詳しい説明を求めた質問に対して、広島防衛施設局長が答えた回答文の一部を以下に再録する。
「移駐する空母艦載機部隊は、年間の約5〜6割(約200日※/365日)しか飛行場に所在しないこと及び(中略)、飛行場周辺の騒音状況は現状より著しく悪化しないものと考えています。(※ 約200日は、平成12〜16年度の5年間における空母の横須賀港平均入港日数です)
艦載機が岩国にいるのは、空母が横須賀に居るときだけだ、というのがこの説明の前提になっている。
確かに空母が横須賀に居れば、艦載機は(現行では)厚木にいる。これは間違いない。
では、空母の出港後はどうか。
空母は長期の航海に出る前に、何度か出港を繰り返す。入港中に行った修理のチェックを行ったりしている。その間、艦載機は(現行では)厚木から訓練空域やその下にいる空母に向かって飛ぶ。
空母から真夜中に厚木に戻ってくる艦載機が何機もいて、基地周辺住民から苦情が集中するのもこの時期だ。2005年の空母の出港状況と、厚木基地を離陸する艦載機の毎日の飛行機数を下図で示す。空母出港中でも艦載機が飛びまわっていることは一目瞭然だ。
そんなことを、基地周辺住民対策のプロである施設局が知らないはずがない。それなのに、空母が横須賀に居るときだけ艦載機は飛行場にいる、という答えをしてきたのは何故だろうか。
岩国と厚木では状況が異なることを前提とした回答だったのではないだろうか。
空母が居るのは横須賀基地だ。米軍が大島沖の訓練海空域R116を日本に返還しなければ、空母出港後のテストや、艦載機の着艦訓練もこの訓練海空域で行われるだろう。
この空域に到着するには、厚木と岩国では片道45分程度の差がでる。(もちろん、岩国から行く方が時間がかかる)
軍の運用という観点から見れば、空母出港時には、艦載機は岩国から厚木に移動して、厚木から連日夜遅くまで飛行を繰り返すことになる可能性はきわめて大きい。
これは、米軍が自分の都合によって厚木と岩国を使い分けるということに他ならない。
今回の米軍再編の目玉と言われている「艦載機の厚木から岩国への移駐」の内実は、岩国と厚木の両方の基地を使い分けて、艦載機の運用の自由度を上げるという在日米軍基地の機能強化だった、ということを如実に示している。
(田村順玄・岩国市議)

厚木の艦載機と空母の出港状況を重ねた。空母が出港中でも、艦載機が厚木から飛行を繰り返している
'2006-7-24|HOME|