97.4.16 最初から腰の引けた「立ち入り申請」

 昨年12月に日米両政府が合意した新しい制度に基づき、岩国市は15日、由宇町と共同で岩国基地内の弾薬庫への立ち入り調査を申請した。

 劣化ウラン弾の貯蔵がはっきりしている弾薬庫の実態を調査する意義は大きい。

 しかし、今回の申請には山口県が参加しておらず、また、姫子島への立ち入りが含まれていない。「姫子島で爆発処理をしているかもしれない。」と心配する市民は多い。当然、姫子島にも立ち入り調査を行うべきだ。

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 それにしても、今回の市と由宇町の立ち入り申請を見ると、最初から米軍に対し腰が引けている。20名という立ち入りの定員を大きく下回り、職員6名。庁内にはそれぞれ職務の専門がいて、課題別にも詳しい職員がいるにもかかわらず、担当課のみの対応。

 これでは、「単に形式的に3月議会で約束をした義務を果たす。」といった感じである。

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 16日付けの神奈川新聞によると、今度の制度に基づいて東日本最大の米軍弾薬庫である横須賀市浦郷倉庫地区に、立ち入りを申請していた横須賀市議達に「拒否」の回答が示されたという。

 手続きに従えば、米軍施設内への立ち入りは許可されるべきなのに、この回答によって、制度そのものが実効性の伴わないものであることがはっきりしてきた。外務省は最初から、「これまでの制度を銘文化しただけで、実態はさほどかわらないハズ」と見ていた。岩国市の取り組みが、これに妙に連動しているのが判る。


97.4.23 態度が逆の「給油機部隊」受入れ表明

 岩国市は22日、山口県と由宇町との3者連名で、沖縄・普天間基地の空中給油機を岩国基地に移駐させることを正式に容認し、その旨の文書を橋本総理に手渡した。普天間基地の機能を本土に分散させることについては、「岩国への移駐」が他の基地に先行、結局は呼び水になった。折しも、厳しい選択を迫られていた大分や北海道などの自治体も、丁度昨日、おおむね受入れの結論を出す状況に立たされてしまった。

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 橋本総理は「岩国」の結論に大喜び。これで大きな顔をしてアメリカに行けることだろう。実弾砲撃演習の移転候補地の反対運動さえも、岩国市長らの先行による大きな影響があり、結果として同じスケジュールで同意させられたのだ。

 それにしても、22日、知事や市長が持参した「文書」の屈辱的な内容にはあきれる。

 岩国貴舩市長は二言目には「苦渋の選択」と言いながら、「米軍岩国基地に関する要請書」文書によると、本文14行の前4行を使った「あいさつ」の中で『基地の諸問題には平素から種々御配意賜り・・』と感謝し「基地沖合移設事業」実施の感謝をつらつら述べている。そのあと、空中給油機の移駐について、「容認」の意思表示をしている。岩国市民の気持は殆ど伝えられていない。

 今の岩国市長にとっては、沖合移設事業を着工にこぎつけた自分の功績が一番重要で、その次に大切なのは「国へのお礼」なのである。『苦渋に満ちた結論』ではなく『地獄の沙汰の大成果!』であった。


97.5.13 国の本性ここに見えたり

 6月1日、広島防衛施設局は岩国基地滑走路移設事業の起工式を基地内で実施するという。この式典に、「地元の県議と市議計5名が招待されていない。」と11日付けの新聞は大きく報道した。案内状が筆者に届いていないことから、少なくとも最低一名は招待されていないのは事実だ。

 29年間という長い運動の後、実施に移される事業である。千六百億円という国民の税金を使う、国の事業。

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 新聞記事によると、広島防衛施設局は「協力していただいてない」と判断したから招待しなかったという。

 まったく、この判断をした防衛施設局の役人さんたちは、「国民の税金を自分のふところから出している。」という錯覚をしているのではなかろうか。民主主義のルールを認めているのなら、賛成もあれば反対もあるのは当然のことだ。その点を踏まえた上で、「協力して頂いてない」という尺度で排除する「国」の本性をここに見た。

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 岩国市は沖縄の空中給油機岩国移転を容認する見返りに、条件として九項目の要望を作り上げた。国も、こちらの容認決定までは頭も低く、「なんでも任せ!」といった感じであった。

 今月7日、岩国市はこの九項目要望を携え、広島防衛施設局に出向いた。改めて詳しい内容説明をするために。本当は向こうから聞きにくるのが道理だが。

 もし、これから交渉の過程でどうしても意見の食い違う場面が出てきたら、どうするのだろう。国の「協力して頂けないのなら・・・」ということで、聞く耳を持たぬという本性が、案内状の一件でここに見えた。しっかり頑張って頂きたいものだ。


97.5.28 清々しさも吹っ飛んだ!市長の発言・蛇足ですョ

 5月25日、「ゴミ非常事態宣言中」の岩国市で市労連は4回目の市内清掃活動を実施した。今年は横山、尾津に加えて、交通局のある周辺も加えた3か所で朝8時から汗を流した。

 市労連の主催ではあるが、環境部も一生懸命。管理職も多くが参加し、市役所全体の行事として定着してきた。

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 その横山会場の解散前の総括集会。みんな仕事を終えていい気持ちの時「御苦労さま」というマトメの市長あいさつ。市長の口から最後に出た言葉は、

「清掃奉仕活動については大変よかったが、気にかかる事が・・・。私のうしろの車の看板の内容と私の気持ちは違う。」「テレビのニュースに、看板といっしょに映っていなければいいが。」というものだった。

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 いったいどんな看板であっただろう。組合車の看板をよく見ると、「岩国を第2の沖縄にするな!KC130移駐、基地機能の強化拡大に反対しよう!」

 市長がそんなに目くじらを立てる内容がどこにあるのだろうか。第一、基地機能の拡大・強化に反対するということに、市長は「反対」とはどういうことだろうか。あれだけ『苦渋の選択』とまで言いいながらの容認発言となった経過はどこへ行ったのだろうか。

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 なんだか、筆者に起工式の案内状を届けなかった防衛施設庁のやっていることと、市長のこの日の発言が、二重に映って仕方がない。沖合移設事業を推進しなければいけない、そのためにはその前に立ちはだかるどんな障害も「悪」であるという感覚 市長という岩国市に一人しかおられない最高の公職。その方の口から、軽々の発言。

 掃除のあとの清々しさも吹っ飛んだ、後味の悪い御言葉であった。


97.6.4 あらためてこれから・・・何十年も先まで基地との同居を強いられる

 6月1日、岩国基地沖の上空では、7機のヘリコプターがトンボのように旋回を繰り返した。

 ピースリンク広島・呉・岩国のゴムボート船団11隻が海上デモを実施している時であった。 同じ頃、基地内の海上自衛隊格納庫でも、国の主催する滑走路設事業の起工式が盛り上がっていた。

 こうして、岩国市民が希望もしない基地の拡大・機能強化のための工事はスタートした。少なくとも向こう10年は、基地を大きくするための工事が続けられる。必然的に岩国市民は、これからまた長い間、基地との同居を強いられるのだ。

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 5月31日、山口放送でドキュメンタリー「転機」という普天間基地からの空中給油機移駐で揺れる岩国の1年をルポした番組が放送された。筆者のこの間の行動も多く取り上げられ、放送に引用された。

 視聴者の反応は大きく、筆者のところへ電話も何本か、かかってきた。街で出会った人からの感想も沢山。そのほとんどが、市民の素朴な感情として、筆者の主張に同感の声であった。市民から「滑走路移設で基地を拡げて下さい。大きな岸壁を作って下さい。滑走路を2本にして下さい!」とは頼んでいなかった・・。 どこの世界にわざわざ、今の時代、国に基地を拡張して下さいとお願いする住民がいるだろうか。

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 観光と工業の街と言われる岩国。しかし、「米軍基地の街」という現実がこれからもずっと母屋のひさしを押しのけて、居座り続けるかもしれないが、市民のすべてがこの事実を諸手をを上げて歓迎していると思ったら大間違い。疑問を持っている沢山の市民の、声なき声に、これからも耳を傾けたい。


97.9.22 新・ガイドラインが岩国基地強化の免罪符

 おそらく、明23日か、24日には新「日米防衛協力の指針 (ガイドライン) 」が決定される見通しだ。新ガイドラインは日本国内のあらゆる施設を米軍が自由に利用できる「総基地化体制」を実現への企みだ。

政府はこの指針にそって、日本の国防計画を見直す方針で、有事法制も着々と準備が進んでいる。そもそも、アメリカは英語で「WAR」マニュアルと書き、それを日本は「有事」と訳してきな臭さを消す。

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 これまで、日米安保条約に基づき米軍が駐留している場所は、沖縄以外ではわずか。岩国や三沢など基地が所在する住民は大変な迷惑を被ってきた。それが今度のガイドラインの見直しでは、空港や港湾、交通手段や医療機関、あらゆる公共施設などが、そして人が、日米の防衛協力の大義名分で総動員させられようとしている。

 つまり、日本全土が米軍基地化されようとしているのだ。

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 それは又、岩国基地においても大きな意味がある。この国家財政が窮迫しているときに始まった「滑走路移設事業」が、さらに多額の税金を投入して推進できる免罪符なのである。

 「民間の空港を、港湾を使用させよ!」と言うレベルに、「勿論米軍に提供している固有の基地はもっともっと強化することは当然のこと」という理論である 国がそういう企みなら、今度は民衆の反撃。これまでの意識では、基地所在の住民は、やはり意識の高かった「反米軍基地」の想いを、今度は日本全国から逆に燃え上がらせればいいのだ

から。


97.11.21 米軍の、やりたい放題!「在日米軍基地従業員の労務費」

 平成7年から「在日米軍基地従業員の労務費」は全額、日本側が負担することになった。岩国基地でも千人を越える日本人従業員が雇用されている。日本人従業員にとって、複雑な感情はあるものの、米軍基地で働くことを生活の糧にしている現状では、米軍相手の不安定な労働条件に比べ、日本政府が賃金を保障してくれる方が、そこで働く労働者にとっては歓迎される措置だろう。

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 米軍の為に日本政府が賃金を払って働く日本人従業員は 今年9月現在全国で約二万四千四百人。特に、日本側が全額負担するようになって二千人も増えたという。

 在日米軍の軍人総数は約4万人。つまり米兵二人に一人の日本人従業員が配置されている計算になる。特別養護老人ホームよりも手厚い体制である。

 さらに、その数を比較すると建設省の二万三千人を上回り、外務省五千人のほぼ5倍、自衛隊の二十四万人に対し、非制服職員の二万千人という割合に比べると、なんと優遇されていることか。

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 おまけに、雇用人数は協定により3年間の平均人数となっており、どんどん勝手に増員しても翌年はほぼ、既得権を確保できる。もっとびっくりするのは、英語を使う職種には「英語手当」が支払われることになっており、約二百六十人いる外国人基地従業員の内、百人以上の人にまでその手当てが支払われているという。福祉や教育の予算を削って、こんなアメリカの軍隊のために使っている私たちの税金、「思いやり予算」の実態のひとこまである。


'98-1-13 |HOME|