米軍で働く日本人労働者と、
そのとりまく状況について(97.11.1)

 私は現在、本州地域で働いている米軍日本人従業員です。『前基地従業員からの手紙』を読まさして頂きました。それについての感想と私が感じている米軍側としての意見です。
                                        
人事権について:                            
 私は縁故関係もしくは友人知人等の関係で新たに米軍で働くことは、一長一短であると思います。良い点として最近の30代、20代の人たちに多いのが、実際に実務が出来る人たちを米軍内部の余所の職場もしくは外部から勧誘している点です。当然ながらアメリカ人管理者に十分に説明をしています。悪い点として米軍人事課が行った、一種の青田狩りです。これは米国の学校に留学している日本人学生にセミナーを行い、卒業後、各基地で働くように勧誘するものです。彼等は、当然のことながら社会人として仕事をしたこともなかったり、業務(仕事)というものを十分に把握できていない若者たちです。ただ一般の日本人従業員より英会話が達者なだけ、管理職並み(日本の国家公務員) の階級で雇用しているのです。そうでない人も確かにいますがあまりにも少数です。         
また最近、増えてきたのが米国籍または日本以外の国籍で、また配偶者も日本国籍でない人たちが日本人従業員として働いています。またそのような従業員に対し、英語の語学試験(米軍内部のもの)を受け、語学手当てが支払われています。彼等は母国語が英語なので出来て当たり前なのに何故、語学手当てを日本の税金で支払う必要があるのでしょうか?日本語が出来て初めて語学手当てを支払うのが正しいのではないでしょうか。彼等(配偶者が日本国籍である場合を除いて)についていえば、日本人従業員として雇用することは、正しくないと思います。私が調べた日本人従業員の規定(日本政府で作ったものと聞いている)では、日本国籍などに限定されていないのが、問題だと思います。これらの事は、米軍の管理者たちは知っているはずです。この事によって現在どのような事が起こっているかというと、人事権(昇給、昇進など)を持っている上司が部下と夫婦、兄弟、親子関係と言うことです。何故なら日本人従業員として雇用されたならば人事管理(書類上の)は各労務管理事務所で行われ、兵隊及び軍属は米軍内人事課が管理しているため、十分な管理状態ではないからです。                        
 また日本人従業員は60歳定年制を基本としているのに60歳以上の日本人従業員が多く残っていることです。中には70歳を越えている人さえいます。普通に考えて十分に責任ある仕事を定年オーバーしている従業員が出来るとは思えません。常識的に考えれば、定年延長を許可する米軍の各米国人管理者が能力が無いということです。          
以上のような人事的問題は、今までどの基地においてもあったと思います。ですが何故、各労務管理事務所は問題提起もしていないのでしょうか?確かに給与は日本政府が支払い、人事権は米軍にあるのは分かります。しかし大蔵省などの会計監査機関もしくは各労務管理事務所は、国家予算を使うのですから調査をして理由が無ければ、はっきりと米側に対し、支払いをしないことを通告すべきです。                  
                                        
米軍報道について:                           
 日本の国民が皆満足するような答えはないと思いますが、私の個人的意見です。過去の経緯として日本は、アジア諸国に重大な過失を犯しました。ですが、これは米軍が日本に駐留することでアジア諸国は、一種の安心をしているのだと思います。これは大変大事なことで、また日本は防衛を米軍に任せたからこそ今の日本があるのだと思います。もし日本が自衛を他国並みにしようとするならば、兵力、装備を今より数倍にしなければなりません。現在の防衛費のほとんどは、人件費及び一般設備費に費やしているため、装備には実際、多額の予算が使われていないはずです。                   
報道関係者に言いたいのですが、自国のみで防衛した場合の金額とアジア諸国の感情と日米安保によって米軍に依存することをよく考えて報道してほしいです。時々、冷戦が終わったから、平和のために軍縮しなければ、平和主義等という報道がありますが、冷戦の今日でも各国の情報機関(CIA 、KGB など)は、いつ有事になっても良いような危機管理をしています。しかし日本のそのような組織は十分でないため政府がやらなくてはならないのは、素人に危機管理をしなさいといっているのと同じです。           
理想論で平和を言っていてもだめだと思います。現実に政府が報道していない威嚇などの行為は日常的に起きているのですから。自分たちの住居と同じで夜や留守になれば戸締まりをするのと規模さえ違いますが同じ事なのですから無くてはならないと認識が必要だと思います。また報道されている米軍撤退を希望しているというのと違った意見をホームページ等で見るのは、どちらかというと米軍を必要と思っている人の方が多いのではないでしょうか?                                  
                                        
各地方行政機関について:                        
 各地方行政機関は本心を言っていないと思います。それは自衛隊や米軍施設がある地域は国から補助金などの名目で大きな収入を得ているはずです。もしその予算が無ければかなり地方行政は方向修正をせざるをえないはずです。米軍の早期撤退・返還・自衛隊の軍備増強反対などと建前で言うのは止めてほしい。                  
                                        
日本政府について:                           
 いまだに敗戦国意識が抜けていない日本政府はどうかしていると思います。何のための日米安保なのか、何のための防衛協力なのかわかりません。日本の官僚は頭脳明晰でデータ分析にたけているのですから、後一押しで交渉が十分に出来るはずです。       
                                        

いろんな事を書きましたが米軍は日本に対して防衛力(他国からの抑止力、アジア諸国に対して日本が独自に軍事活動をしない)を提供し、それに日本は二、三十年は依存していくしか現状では選ぶ権利はないのです。日本人としては大変寂しいですが憲法上もそうするしかないのです。もしも憲法を改正するとすれば、政治家の判断ではなく、国民の投票でかつ、8割以上が憲法改正に賛成しなければ絶対にうまくいかないと思います。憲法の解釈を変えてなど、政治家の方々は言っているようですが、所詮はお茶を濁しているだけだと思います。                                


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