米軍機から陸自隊員降下、習志野演習場で(続)



訓練の出発地となった厚木基地で、米軍輸送機C130Jに乗り込む陸自第1空挺団の隊員たち(2020.9.15 爆音訴訟調査研究センター 撮影)

9月15日に習志野演習場で行われた陸自空てい団のパラシュート降下訓練は、米空軍の輸送機を使う日米共同訓練だった。

横田基地の米空軍C130J輸送機が厚木基地に飛来、陸自習志野基地からトラックに分乗して厚木に入っていた陸自空てい団の隊員が、2機のC130Jの後部カーゴハッチから機内に 入っていった。
16時15分に1番機が厚木を離陸、習志野上空に現れたのは30分後だった。30分間上空を旋回して100人近くがパラシュート降下を行ったのち、2機のC130Jは厚木に戻り、 ふたたび空てい団の隊員を積んで習志野上空に現れた。地元の金光理恵さんの監視によると、18時半から19時半くらいまで旋回して、一度に10人くらい の隊員が降下した、とのことだ。

米軍機からの降下訓練一覧


「国内における米軍機からの降下訓練」は、今回の習志野が5回目だ。昨年は2回行われて、今年は3回目だ。

昨年から繰り返し行われているこの「米軍機からの降下訓練」は、何のためにおこなわれているのだろうか?

今回の降下訓練についての陸自のニュース・リリースでは、目的として「米空軍機を活用して固定翼機からの降下回数の増加を図り、空挺作戦に必要な戦術技量の向上を図る」と書かれて いる。
なぜ、米軍機を活用しなければならないのか?自衛隊の輸送機が、空挺団の訓練ができないほど不足している、とでもいいたいのだろうか?

「外国からの侵略」に真っ先に対処するであろう陸自の空てい部隊が飛ぼうとしても、安保条約による米軍の「参戦」には「自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処する」 ために米国内での調整が必要となる。米軍機を使った「侵略対処」は即応性に欠けると言わざるを得ない。
「外国からの侵略」ではなく「内乱」対処に自衛隊をつぎ込むために、米軍機を「活用」する訓練なのだろうか?

もしくは、米軍の行う戦闘に自衛隊の空てい部隊を参加させる、という事態に備えての、年中行事としての「米軍機からの降下訓練」なのだろうか?

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


米軍C130から飛び出した空てい団のパラシュート


習志野演習場に着地する空てい団のパラシュート(2020.9.15 頼 撮影)


2020-9-17|HOME|