木更津オスプレイは低空飛行訓練が出来ない(3)

滑走路以外に降りられないオスプレイのオートローテーション

「自衛隊に限らず、国内のヘリコプターは、有視界飛行方式で飛行することが一般的です」「なお、民航機と同様に自衛隊機は航空法で定められた最低安全高度を確保した飛行を行っており」 (千葉県に対する回答書の16ページより)

低空飛行訓練は有視界飛行方式で飛ぶ。陸自オスプレイの低空飛行訓練もまた有視界飛行方式で飛ぶ。有視界飛行方式で飛ぶ航空機の高度を制限する航空法施行規則第百七十四条にある「飛行中動 力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度」が仮に500メートルだとすると、500メートル以下の高度でオスプレイは低空飛行訓練ががで きなくなる。
実際のところ、オスプレイの最低安全高度は何メートルなのだろうか。
木更津の田中紀子市議は、福島みずほ議員事務所を通じて、以下の質問を防衛省と国土交通省にした。

まず、オスプレイの最低安全高度について、
質問『最低安全高度を定めた航空法施行規則第174条をオスプレイに適用した場合、「飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人または物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度」と は、何メートルでしょうか。』

12月2日付けで帰ってきた防衛省の答えは
以下の通りの「答えられない」というゼロ回答だった。


○ 御指摘の点を含め、陸自オスプレイの詳細な性能については、装備品の能力が推察されるおそれがあり、また、米国との関係もあることから、お答えすることは差し控えます。

○ その上で、オスプレイのエンジンは双発であり、双方のプロペラはシャフトでつながっているため、片側のエンジンが停止した場合も、残りのエンジンでもう一方のプロペラも回転させて飛行 継続が可能となるように設計されています。

○ 更に、オスプレイは両エンジン出力喪失時においても、機体を最低限コントロールして安全に対処する機能であるオートローテーション及び滑空により緊急時にあっても周辺地域の皆様に被害 や影響を与えないよう降下することを最優先にしています。

「オスプレイを運用するには1500メートルの滑走路が必要」なんて事のほうが、最低安全高度よりも「装備品の能力」にかかわることだと思うが、ともかく最低安全高度は答えたくないらしい。

最低安全高度を定めた航空法施行規則第174条第一項の判断条件は「両エンジン出力喪失時」についてだ。この事態に対して防衛省は言う。「オートローテーション及び滑空により緊急時にあっても 周辺地域の皆様に被害や影響を与えないよう降下することを最優先にしています」...。最優先といってもねえ。なぜここで「周辺地域の皆様に被害や影響を与えないよう降下します」と言い切 れないのだろう?

そのあたりに「へりと違ってオートローテーションで安全には降りられない」と知っていて、そうは言えない忸怩たる思いが垣間見られるのだが。(続く)

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2020-1-9|HOME|