木更津オスプレイは低空飛行訓練が出来ない(7/止)

木更津でも習志野・船橋・八千代でも、オスプレイは安全に飛べない

オスプレイがオートローテーションで安全に、ほぼ垂直に降りることができないのが、根本的な問題だ。
防衛省が安全に降りることができるという「オスプレイのオートローテーション」とはグライダーのような滑空でおりてくるのに近い。着陸時に相当なスピードで地面の上を走りだす(時速130 キロ)。 だから滑走路を備えている基地や空港にしか安全に降りられない。

ただグライダーに比べてはるかに重く、翼面積が小さいオスプレイは滑空率が小さくなる(滑空率2:1。グライダーは滑空率30:1を超える)
そのためグライダーと同じ高度から滑空をはじめても到達距離の比は15分の1以下と計算できる。安全に基地内に降りるのは、基地から高度の2倍くらいはなれたところまでだ。今の陸自のヘリ の東京湾周辺の飛行高度と同じとすれば、せいぜい1キロ離れた場所までだ。

それ以上離れた場所の上空を飛ぶ場合は、航空法の定める最低安全高度より低いところを飛ぶことになる。そのたびごとに、国土交通大臣に許可申請をしなければならない。しかも機体の性能に基 づく最低安全高度を下回る飛行申請だから、国土交通省が許可を出す根拠がない。

結局、基地の中でチマチマと飛ぶか、計器飛行で習志野や富士の演習場上空まで飛んで着陸するくらいしかできなくなる。
こんな軍用機を高い金を払って(税金を使って)導入した自衛隊は、どうやって「落とし前をつける」のだろうか。

米軍機は、航空特例法の第3項で「航空法第六章の規定は、政令で定めるものを除き、適用しない」とされている。適用除外の中には「最低安全高度」の規定も含まれている。だから普天間や横田 にいる米軍のオスプレイは、(怪しからん話だが)傍若無人な飛び方をしても、直接法律違反とはならない。

だが自衛隊のオスプレイは別だ。少なくとも今の航空法・航空法施行規則の体系の中では「最低安全高度」の規定に拘束される。それを回避するために、自衛隊法第107条(航空法等の適用除 外)第3項にある「航空法第六章(第一項の規定により適用を除外される規定を除く。)の規定の適用については、政令で特例を定めることができる。」を使ってオスプレイのためにだけ、航空法 施行規則の改定を行えば、防衛省・国土交通省はその理由を説明しなければならない。
それは、日本政府がオスプレイを欠陥機だと公言するに等しい。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2020-1-11|HOME|