今年も米輸送機から陸自空てい団降下、習志野演習場で




習志野演習場上空で米軍輸送機C-130Jから飛び出す第一空てい団隊員


着地地点に近づく空てい団隊員とパラシュート

5月20日午前、習志野市・船橋市、八千代市に接する陸自習志野演習場で、米軍輸送機からの陸自空てい団隊員の降下訓練が行われた。

5月11日付けの陸幕ニュース・リリースによれば、降下するのは陸自第一空てい団、空輸は米空軍機で5月18日から20日に行われるとのことだった。

20日の降下訓練で飛んだのはプロペラが6枚羽根のC130Jで、横田基地の常駐機だ。一回の上空通過で最大18名の隊員が降下した。3機が習志野演習場の固定翼機場周経路を 飛行していたから、おそらく20日には200人近い隊員が降下したものと推測される。

リリースによれば、今年度第1回の国内における米空軍機からの降下訓練、とあるから、習志野演習場をまた使うかどうかは別として、米軍機からの降下訓練は繰り返すつもりだろう。

降下訓練を見るたびに思うのだが、陸自は実戦ではどんな状況で降下を実施すると想定しているのだろうか?
陸自がよく使っている離島防衛のイメージ図は、水陸機動団が中心で、空てい団は登場しない。現在最も重要だ、と言って日の丸オスプレイの導入の根拠としている「離島防衛」に、 空てい部隊の出番はあるのだろうか?

そもそも空てい部隊の降下という戦術は、領土拡張(侵略)、不意討ち攻撃の手段として用いられてきたのではないのだろうか?「空の神兵」という呼称は太平洋戦争の初期、パレン バン油田奪取作戦から生まれてきたのではなかったのか?
それが、今の自衛隊の中でどう位置づけられているのだろうか。そして、米軍機を借りてまで訓練を重ねるのは、どんな状況に対応しようとしているのだろうか?

「離島防衛」に登場しない部隊の「活躍場所」は?
そこには、米軍と一体となった攻撃作戦への参加が想定されているのではないか、と危惧する。

仮に北朝鮮のミサイル基地制圧のために米軍とともに降下するなどということが、「敵地攻撃能力」の保持として肯定されるようになるまで、米軍との降下訓練を続けるのだろうか?

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)(21.5.20 頼 撮影)


3機目の米軍輸送機からジャンプする陸自隊員


2機目のC-130Jから飛び出した隊員(左下)が着地しないうちに、3期目の輸送機から降りたパラシュートの列が下りてくる


米軍機からの降下訓練を知らせる、5月11日付け陸幕広報室のニュース・リリース


2021-5-21|HOME|