「降下訓練はじめ」に米軍、イギリス軍、オーストラリア軍が参加


横田基地所属の米空軍輸送機C-130Jから降下する隊員

空自の大型輸送機C-2から降下する隊員

陸自の多用途ヘリUH-1は隊員4人を機外に載せて飛行

米海軍のヘリMH60S、これも4人の隊員を載せて来た

1月8日、陸自第1空挺団の毎年恒例の「降下訓練はじめ」が習志野演習場で行われた。
今年は米空軍第374空輸航空団(横田基地)、本国から第82空挺師団、第11空挺師団、第1特殊部隊群第1大隊など70名、イギリス軍は第16空中強襲旅団から30名、オーストラリア軍は国防軍空挺学校から10名である。

 第16空中強襲旅団はイギリス軍唯一の空挺部隊だが人員6,200名で、陸自第1空挺団1,900名の3倍強の規模。アフガニスタンでは国際治安支援部隊(ISAF)に参加し、イラク戦争では米海兵隊の作戦を支援している。
米軍の第82空挺師団は15,000名。昨年2月ウクライナ情勢の緊迫を受けて、ポーランドに1,700名、ルーマニアに1,000名を派遣している。
第11空挺師団は22年6月に再編成された師団で人数不明。
オーストラリア陸軍は特殊作戦コマンドの傘下に空挺学校と特殊作戦学校を持つ。22年8月にはオーストラリアで、陸自特殊作戦群と特殊作戦コマンドが「実動訓練」を行っている。訓練の詳細と参加人員は公表されていない。

(千葉県を所管する北関東防衛局が東京都あきる野市に提供した情報)
横田基地から、米空軍の輸送機C-130J 4機に、第1空挺団の隊員約60名〜80名と米陸軍約60名が搭乗。
入間基地から、空自の大型輸送機C-2 2機と輸送機C-130H 2機(愛知県小牧基地)に第1空挺団の隊員約160名と、英陸軍約10名が搭乗(あきる野市HP)。

訓練の最初に「演習場を離島に見立てて訓練を行います」とアナウンスが入った。海自の哨戒機P-3Cが飛行したあと陸自の攻撃ヘリAH-1Sが地上を攻撃し、そのあと、米軍横田基地所属の輸送機C-130J 3機が次々に隊員を降下させた。空自の輸送機C-130H、大型輸送機C-2が続いた。陸自の多用途ヘリUH-1は機外に4人を搭載して飛来、結構なスピードだ。
「毎日あんなことやっているの。心配!!」と若い女性が悲鳴に近い声をあげた。おそらく隊員の連れ合いなのだろう。続いて米海軍か海兵隊のものと思われるヘリMH60Sが飛来、ロープで隊員を降下させた。おそらく、初めての参加だ。陸自の大型ヘリCH-47も次々に隊員と、ジープ、82ミリ迫撃砲などを降下。
 さらに、74式戦車、16式機動戦闘車、水陸両用装甲車AAV-7、12式地対艦ミサイルが登場した。地上では空砲、煙幕などによる「模擬戦闘」が行われた。
訓練最後のアナウンスは、「空挺団の援護の下に地上部隊が、敵部隊を撃破し離島を奪還しました」だった。

 浜田防衛相は、「わが国を含む国際社会は深刻な挑戦を受ける中、諸君一人一人が果たすべき役割は大きく、国民からの期待もより大きなものとなっています。---諸君は国の宝であります」と訓示した。
米英豪の参加部隊が、第1空挺団と空挺徽章の交換を行い、訓練は終了した。見学者は約1万人と報道されている。

(木元 茂夫)(2023.1.8 木元 撮影)


着地寸前の隊員

16式機動戦闘車


12式地対艦ミサイル

「空挺徽章」を交換する参加部隊(左を向いている隊員)。後方、白いヘルメットを被った自衛官の前に座っているのが浜田防衛大臣


2023-1-12|HOME|