拡大するオスプレイの定期修理、木更津で(7)

CMVオスプレイは強襲揚陸艦にも

今回のオスプレイ修理業者募集の計画に含まれる海軍用オスプレイCMV−22の総数は8機で、6年間で8機をオーバーホールするのが基本のサイクルになっている。6年間かけて8機のCMV−22を修理することを繰り返して、継続的に8機のオスプレイを「まともな」状態で飛べるようにするのが、今回の業者募集の狙いだ。

今回の修理プランの「業務記述書」(PWS)のINTRODUCTIONの第1節4項の見出しは「海兵隊のMV-22と海軍のCMV-22のバックグランド」だ。「この契約でサポートされる海兵隊のMV-22と海軍のCMV-22は前進配備されていて、米インド太平洋軍の責任エリアで様々な任務を遂行する。」という記述の後に、「MV-22は沖縄・普天間のVMM-262,VMM-265の2個飛行隊に属している。(以下略)」とつづくが、海軍CMV-22についての記述はない。

このバックグラウンドの説明によれば、CMV-22 の8機のかたまりはインド太平洋に前進配備される部隊となる。空母連絡輸送任務のC-2A は確かに岩国に分遣隊として2機が配備されているが、この2機がCMV-22になったとしても、残りの6機はどんな任務につく可能性があるのだろうか?

考えられるのが、強襲揚陸艦と陸上基地との間をつなぐ任務だ。固定翼のC−2Aは、強襲揚陸艦への着艦や発艦はできないが、オスプレイならばできる。

佐世保に2019年12月6日に配備された強襲揚陸艦アメリカ(LHA−6)は、垂直離着陸が可能な戦闘攻撃機F35Bライトニングも搭載して任務に就いている。このF35Bの巨大なエンジンを空輸できる空母連絡機の需要が確かにある。

F35Bのエンジンを機内に収めて空輸できるCMV−22が、強襲揚陸艦アメリカ付きで2機割り当てられるのは、時間の問題なのではないか。

「ライトニング空母」構想と呼ばれる、強襲揚陸艦を小型空母として使う考え方が、米海兵隊の中で具体化しているようだ。F35Bライトニングを強襲揚陸艦(LHA)に約20機積んで、大型空母の補助戦力として、また単独で低脅威度の戦域の制圧に動く、という考えだ。

2016年11月に海兵隊は、強襲揚陸艦アメリカに12機のF35Bを積んで航行するデモンストレーションを行なった。このライトニング空母をもう一隻インド・太平洋軍の責任エリアに前進配備すれば、さらに多くのF35Bのほかに、CMV−22の前進配備も必要になろう。

前進配備の空母や強襲揚陸艦に載るCMV−22は、現在のC2−Aの2機を上回る数となることは間違いない。艦上配備が6機となり、整備に回す2機を加えた8機が、一つのCMV−22グループを形成する可能性は十分ある。

今回のCMV−22の修理プランの設定と業者の募集は、強襲揚陸艦に割り当てられる機数も含めた前進配備の機体の、整備体制の拡充のためと考えられる。(続く)

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


F35Bライトニングを10機積んだ強襲揚陸艦ワスプ(2019.3.26 ホワイトビーチにて 世嘉良 学 撮影)


2020-7-11|HOME|