拡大するオスプレイの定期修理、木更津で(8)

整備機能拡大は、オスプレイの呼び水となる

修理対象機数が大きく増えた今回の米軍オスプレイの定期オーバーホール計画で、防衛省は場所を提供する条約上の義務を負っているのだろうか?そんなことはない。普天間から1000キロ以内というのが米軍の条件で、昨年2月時点での契約希望の会社のなかには、韓国の会社も入っていた。

また、木更津基地には、さらなる契約獲得社のために貸し付ける場所は提供されていない、とも昨年2月の説明会で米軍が答えていた。それがなぜ、格納庫を新設して、また配備先も決まっていない海軍用オスプレイの修理ラインの契約まで、日本企業にとらせて木更津に引き込もうとするのだろうか?

この防衛省の動きは、オスプレイの配備先や整備場所を木更津基地に集約させる結果を招く。ポイントは整備機能の拡充だ。

「日米オスプレイの共通整備基盤」の名のもとに、普天間のオスプレイと陸自で導入するオスプレイの整備として、初めは「既存の格納庫の活用」で収まる程度のボリュームでスタートした。

そして今回、整備対象を拡大して海軍のオスプレイCMV−22も加える、としている。ボリュームでは33パーセント増、在日米軍の機体かどうかも明確にできないものまで、木更津で修理しようと目論んでいる。そして、修理のための格納庫を2つも作る、と言い出した。

「既存施設の活用」を理由に木更津で始めた「日米オスプレイの共通整備基盤」の拡充は、あっという間に「整備施設が3倍」という規模にまで膨れ上がった。

木更津市がオスプレイにからまれた、そもそものきっかげが「共通基盤」の木更津基地での立ち上げだ。「木更津駐屯地における日米オスプレイの共通整備基盤について」 (平成27年11月 防衛装備庁)のなかで、木更津基地を選んだ理由が明白にかかれている。


整備機能が拡充されれば、オスプレイの配備もしやすくなる。佐賀空港配備で躓いた陸自オスプレイの受け入れ先(押し込み先)として木更津に目を付けたのは、陸自の整備部隊の存在とともに、その整備部隊が「共通基盤」に組み込まれ、オスプレイ配備前から整備の研修が可能だったからだ。

「離島防衛」というお題目とは裏腹に、オスプレイは強襲作戦に使い物にならない輸送機でしかない、ということが浸透したら、無理に水陸機動団の近くに移るよりも、整備機能が充実した木更津にそのまま残る、という選択肢が浮上する。習志野の空てい団などと組んだ新たな任務をつくり、暫定配備の「暫定」をとって木更津を首都圏の恒久的なオスプレイの根拠地にする可能性は高いと言わざるを得ない。

海軍のオスプレイCMV−22を含めた今回の米軍オスプレイの整備の拡大と、それに伴う木更津基地の格納庫の増設は、木更津が恒常的なオスプレイ基地になる地ならしともなりかねない。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


木更津基地に到着した陸自オスプレイ1号機を迎える陸自隊員(2020.7.10 頼 撮影)


2020-7-14|HOME|