拡大するオスプレイの定期修理、木更津で(9)

1機あたりの修理期間、一挙に4倍に

今回の米軍オスプレイの定期オーバーホール計画で、1機のオスプレイが修理場所(現在木更津基地)が飛来してから、オーバーホールを行い、試験飛行を経て普天間に向けて飛び立つ までの期間は、およそ1.3年(482日)となっている。


2014年10月に、普天間のオスプレイの定期整備計画の説明に来た北関東防衛局の三輪局次長は、以下のような「説明」を木更津市長に行った。
「。定期機体整備については、通常の整備ではなく、例えば、車で言えば、車検にあたるようなもので、5〜6 年に一度、整備工場に搬入して、2、3 ヶ月程度の期間をかけて、機体を分解 して、内部の点検や必要な部品の交換などオーバーホールを実施し、機体の安全性を確認し試験飛行する、というような整備内容であります。
米海兵隊のオスプレイが 24 機であることを考慮しますと、年間に 5 機程度整備を実施する予定であり、飛来する計算となります。」

2〜3ヵ月で1機整備できるのなら、年に5機くらい、という計算は成り立つ。5年あれば24機全部が整備できるだろう、という「皮算用」だ。
ところが契約した「スバル」が整備を始めたところ、最初の1機は整備完了まで2年以上かかった。2機目は1年9か月かかった。あまりにも開始前に防衛省が言っている期間との隔たり が激しすぎる。

「スバル」が無能だったわけでもなさそうだ。今回米軍が募集する整備業務の請負業者に提示した1.3年という期間は、2機目までの整備期間に近いものがある。それにしても、一気に 整備期間が4倍になるとは....。
この落差は防衛省が意図的に作業量を小さく見せた、ということでしか説明できないだろう。
整備に要する期間が増えれば増えるほど、24機の普天間オスプレイを一定期間内に整備完了させるために要する人と場所は増えるばかりだ。
「小さく産んで大きく育てる」が当てはまるようなことではない。後年度負担を陰に隠して、初期費用だけを計上するやり方と同じだ。

既存の設備を使って整備ができる、と言わんがために、故意に整備期間を小さく見積もったのではないか?
既存の設備、というのも木更津を選定する大きな要素だった。少なくとも防衛省の説明では。

ここにも、木更津をオスプレイの整備拠点に誘導する防衛省の意図が働いている。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2020-7-20|HOME|