射爆場、10キロ先でも爆弾が降る

「本資料は、戦闘機の事故に関する過去の記録を及び訓練状況等の立地条件を参考に、三沢対地訓練区域で訓練飛行中の航空機が、 日本原燃株式会社の再処理施設及び廃棄物管理施設に到達する可能性について論じたものである。」
三菱重工株式会社と日本原燃株式会社が連名で作った準備書面「訓練中の航空機の事故について」(平成3年4月)はこの文章で始まって いる。

天ケ森射爆場での訓練機が、事故を起こしても六ヶ所の再処理施設に到達することはない、と墜落事故要因を分類して論証しようとして いる。
電気系、エンジンなどの器材関連、コントロールロス、地表衝突などの運用関連などに分けて論じているが、到達しないという結論を出す ために都合のよい状況しか設定せず、ホントに射爆場から10キロほどのところに作っても大丈夫なのか、という単純な疑問に答えて いるとは見えない。
「衝突しない」ということの証明はかなり難しいと思うのだが、限られた条件での論証で済ませてしまっているのは確かだ。

要因を細かく分類していった場合に、抜けてしまう要素がある。今回、沖縄県の鳥島射爆場近海で起きた実弾の誤投下(誤爆)は、 まさに射爆場の近くがいかに危険かを実例で示すことになった。そして、誤爆という要因が、射爆場の近くでの航空機事故から抜け 落ちていることも示唆した。

現地の報道によれば、4月9日、米海兵隊のハリアー攻撃機が500ポンド爆弾(実弾)2発を鳥島射爆場の水域外に誤投下した。鳥島から11 キロ以上離れた場所だとのことだ。
この鳥島射爆場は「2000ポンドを超えないすべての航空機用の在来型弾薬を使用して行う空対地爆撃場」であり「同施設での演習は午前 6時から午後2時までほとんど毎日行われている」(沖縄の米軍基地、沖縄県基地対策室発行)

沖縄以外で国内唯一の米軍射爆場の天ケ森射爆場と、日本原燃の再処理工場の距離は約10キロ。沖縄・鳥島射爆場で実際に起きた 誤爆の範囲は11キロ以上だ。10キロ離れているから、という理由では事故要因から外すことなどできない。
そもそも、射爆場から10キロなんていう近場に再処理工場を作ろうという計画自体が常軌を逸している。何をまた好き好んで、そんな 危ない場所に再処理工場を作ろうとするのか。また、国がなぜそれを認めるのか。
沖縄の誤爆事故と青森の再処理施設建設をリンクさせれば、直ちに建設・稼動をやめさせるという結論が出てくるのだが。

(RIMPEACE編集部)


鳥島射爆撃場(沖縄の米軍基地より) 誤爆地点を追加


'2008-4-21|HOME|